オランダ・アルメレに遠征中のなでしこジャパン(日本女子代表)は24日(水)、翌25日(木)に控えるアイスランド女子代表との国際親善試合に向けて非公開練習を行いました。
ステップワークを中心としたウォーミングアップでスタートし、ボールワークを挟んでセットプレーやゲーム形式の練習を通して、この2日間チームとして共有してきたテーマをピッチ上で再確認しました。連日曇天が続くオランダ・アルメレですが、チームは熱のこもったトレーニングを試合前日も行い、寒さを感じさせない取り組みを続けています。練習後はチーム全員で試合会場となるYanmar Stadionを視察。収容人数約4,500人というサイズのスタジアムですが設備は綺麗に整えられ、チームの初陣を前に選手は試合のイメージを膨らませていました。
練習後は池田太監督が公式会見に臨みました。新体制で初となる海外チームとの対戦に「率直に本当に楽しみ」と語り、10月のトレーニングキャンプから継続して取り組んでいる「奪う」というコンセプトを意識した中で、2022年1月に開催されるAFC女子アジアカップインド2022に向けあらゆる面で大会を想定した戦いをしたいと話しました。また同じく練習後にオンライン取材に応じた熊谷紗希選手も「まだまだエラーが出てくるかもしれないですが、狙いを持ったチャレンジをしていきたい」と、積極的なプレーを通して課題の発見を求め、チームとしてのさらなる成長機会として今回の国際親善試合を捉えていました。
試合は現地時間25日(木)19:40(日本時間26日(金)3:40)キックオフの予定。TV放送はBSフジで生中継予定です。
監督・選手コメント
池田太 監督
私自身も初戦は非常に楽しみですし、先月のトレーニングキャンプでスタートを切ってから目標を確認したり、この海外遠征で新しく力になってくれている選手ともチーム作りを進められているので、率直に本当に楽しみというのが今の心境です。国際親善試合という貴重なチャンスなので、相手を分析しながら我々のやれることを積み上げることも大事なポイントのひとつです。AFC女子アジアカップに向けて対戦相手を考慮しての練習メニューの構築ということも考えています。守備の部分での「奪う」という点を前回のトレーニングキャンプでは強調し、ゴールへの推進力もトライしました。今回はまたさらに次のステップに攻撃の部分でトライしていたり、守備のところは試合での負荷、強度が上がってくるなかで、相手を想定したトレーニングもミックスしている状況です。
選手はピッチ上で自分たちのエネルギーを出してくれていますし、自分の力をチームに還元しようと前向きに取り組んでくれています。私の発信に対しても前向きに捉えて、チームとして一歩ずつ進めている感触もあります。アイスランドが明日、何か変えてくるかはわかりませんが、サイドにはフィジカル的に強く速い、スピードのある選手がいます。そういったところへの対応やクロスの対応は我々がコンパクトにして戦う分、相手の広くて大きな展開とのやり合いになると思います。そういった点に気をつけながら我々のストロングポイントを生かせればという考えをみんなで共有しています。守備のこと、攻撃のことと色々コンセプトを確認している中で、選手が「奪う」ということに対して新たに意識して取り組んでいると感じていますし、相手の懐までボールを取りに行くという距離感や、相手のボールの動かしに離れないで粘り強く付いていくということを選手に求めています。これまでは、少し寄せても距離を空けて相手に自由を与えてしまっている部分もあったと思うので、もう一歩強める、奪いに行くという距離感と、選手同士のチャレンジ&カバーの中から奪いに行けるシーンを作れればと映像を見ながら話しています。相手陣内でボールを奪えればゴールに近いですし、その回数を増やして自分たちのボールにして、攻撃回数を増やしたいという狙いを強調しています。
改めて、新しいなでしこジャパンとしての初陣になりますが、楽しみな部分が多いですし、今のチームがヨーロッパのチームに対してピッチ上でどのようなパフォーマンスを出せるか、チーム全体としてピッチに出ている選手、交代で出る選手、スタッフも含めて、今ここで活動しているチームとして色んな面で成果と課題が見られることを楽しみしています。
DF #4 熊谷紗希選手(FCバイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
監督が変わって新しいチームになって、監督のいろいろなやり方、スタイル、雰囲気がある中で、私自身すごく楽しみにこの活動に臨んでいます。練習はまだ2日行ったのみですが、すごく良い雰囲気でトレーニングできていますし、新しいチームとして新しい目標に向かっていくという意味で良いスタートが切れていると思います。AFC女子アジアカップまで時間のない中で、ヨーロッパの2チームと試合ができるのはすごくありがたいことです。この状況の中ここに来られたことにすごく感謝しています。チームとして積み上げていかなければならないですし、より良く前に進んでいかなければならないので、良い意味で色んなことにチャレンジしたいです。最初からうまくいくわけではないと思いますし、まだまだエラーが出てくるかもしれないですが、狙いを持ったチャレンジを個々としてもチームとしてもしていきたいと思っています。
練習前も毎日ミーティングをしていますが、時間がない中でチームとしての方向性やイメージを持ってすり合わせるという意味ですごく重要なものだと思っています。そこを参考にトレーニングに臨むんだと選手もみんな思っています。池田監督が常に言っている「ボールを奪う守備」や「前からアグレッシブに行く」という点は練習の中でもチャレンジできていると思いますし、試合でもどんどん出していきたいと思います。
DF #22 宝田沙織選手(ワシントン・スピリット/アメリカ)
池田監督になって初めての国際試合ですが、色々な選手とコミュニケーションを取りながら1試合、1試合良いものにしていきたいです。所属チームでも複数のポジションをやらせてもらっているので、代表でもどこで出ても自分らしくプレーできたらと思っています。チームとしては全体的にアグレッシブで、全員サッカー、球際のところも気持ちで負けないというのを大事にしています。
東京オリンピックでは自分の出場時間がなかなか無かった中で、大会後はもっとやっていかなければと思いました。世界は進んでいて、技術面もフィジカル面でも成長しないとワールドカップで優勝できないと感じました。レベルアップさせていかなければと思っていますし、サッカーに対する取り組みを変えなければと思い、改善してきています。所属チームでの普段の練習や試合でも結果を求めていますし、優勝するためにはということを常に考えて行動することが大事だと思っています。
MF #7 隅田凜選手(マイナビ仙台レディース)
新体制になって初めての海外チームとの試合ということで、自分たちも海外組と合流して新鮮なことが多い中での試合ですが、色々と考えすぎるというよりとにかくアグレッシブにチャレンジしていきたいです。味方同士合わないこともあると思いますが試合の中で修正して、声を掛け合いながらやっていきたいです。
毎日ミーティングでゴール前での崩しやアイディアを共有してから練習に入っています。これまでの試合でも、日本はボールを持っているもののゴールに行けないという点が課題だったので、そこはどんどん仕掛ける、ゴールを意識したプレーが必要だと思います。FWだけでなく後ろの選手からどんどん仕掛けていく、奪ってから速いサッカーが大事だと思います。海外のチームと戦う上でフィジカルの差は最初から分かっているので、そこが課題にならないように、よりサッカー的なところで良い課題が出るように、勝利を目指して戦う中で積極的なプレーを出していきたいと思います。ヨーロッパ勢とアジアではサッカーが少し違うと思いますが、海外チームと試合ができる機会は本当に少ないですし貴重な時間です。個人としてもチームとしてもどんどんトライしていって、課題が出たら良いという訳ではないですが、トライできなかったという後悔が無いようにしたいです。
MF #8 猶本光選手(三菱重工浦和レッズレディース)
10月のトレーニングキャンプと今回の2日間で練習をしてきて、ミーティングもしながらチームとしてどういうものを目指すかは落とし込まれていると思います。それを試合で実際にやってみる、トライしてそこからまた見えてくるものもあると思うので、それをこの2試合、チームとしての目指しているサッカーを表現することでAFC女子アジアカップに繋げられるのではないかと思います。
ボランチで出場すれば、まずはしっかり中盤の守備で勝つことを意識したいですし、攻撃になれば普段ひとつ前のポジションをやることが多いので、そこでのプレーを見せていきたいです。単純に球際で勝つこともそうですし、しっかりスライドしてセカンドボールを拾ったり、相手のFWにボールが入った時はプレスバックをしたりというプレーはいつもより多くなってくるのかなと思います。チームとして攻撃ではペナルティエリアの進入回数を増やして、そこからゴールを目指すことで得点の確率を高めていこうと考えています。そのための共通理解として、こうなったらこういうところを狙おう、というのはミーティングでも練習でも落とし込まれているので、みんなで同じ画を描ければ得点になる確率は上がってくると思います。
国際親善試合
なでしこジャパン対アイスランド女子代表
開催日時:2021年11月25日(木) 19:40(日本時間 11/26(金) 3:40)
会場:Yanmar Stadion(アルメレ/オランダ)
テレビ放送:BSフジにて生中継