第27回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は1月13日(日)、兵庫県の神戸ユニバー記念競技場で決勝が行われ、星槎国際高校湘南(関東3/神奈川)が初の栄冠に輝きました。
決勝
常盤木学園高校 0-1(前半0-1、後半0-0)星槎国際高校湘南
星槎国際湘南は、序盤から勢いを見せました。チーム全体で前への推進力を出し、常盤木学園高校(東北1/宮城)を押し込みます。5分を過ぎるとしのぎ切った常盤木学園に押し返されますが、15分には加藤もも選手のミドルシュートがクロスバーをたたきます。すると星槎国際湘南は、次のチャンスをしっかりとものにします。23分、ゴールまで30メートルほどの距離があるFKでしたが、黒柳智世選手は直接ゴールを狙って右足を振り抜きます。強烈な一撃はやや変化しながらゴール右へと突き刺さり、星槎国際湘南が大きな先制点を手にしました。
リードを許した常盤木学園ですが、それまでの反攻モードを継続します。20分には沖野るせり選手がエリア内に惜しいスルーパスを送り、23分にはペナルティアーク内でFKのチャンスをつかみます。西野朱音選手のキックはゴール左隅を襲いますが、これは星槎国際湘南GK小野葵選手の好セーブに弾き出されました。
前半のうちに加藤愛選手を投入して、攻守に運動量を増していた常盤木学園は、後半に入ってさらに攻勢を強めます。71分にはワンタッチパスの連続で左サイドを攻略するなど、時間が進むにつれて星槎国際湘南陣内でのプレー時間を増やしますが、クロスやシュートといったラストプレーが焦りのためか精度を欠いていました。
自陣ゴール前に釘づけにされるようになった星槎国際湘南も、全員で粘り強い守備を続けます。1対1の場面では食らいつき、競り合いでは相手より一瞬早く足を出すなど、押し込められながらも集中力を切らせません。さらには、カウンターに移る場面も見せるなど、最後まで気持ちを前に向け続けました。3分間と目安が掲示されたアディショナルタイムにも2本のCKを受けましたが、GK小野選手の必死のセーブなどもあり、無失点のまま試合を終了。苦しい時間を乗り越えて、日本一に輝きました。
監督・選手コメント
柄澤俊介監督(星槎国際高湘南)
例年にも増して、結果を出すためには何が必要か考えました。戦術や個人の判断などは一通りできる選手たちだったので、そこに何を上乗せする必要があるかと思いながらやってきました。トレーニング内容も特には変えていませんが、サッカーの要素や人間性など、少し大人になったのかなと思います。一昨年や去年も、十分に優勝を狙えるチームでしたが、今年は初戦への入り方が良かったと思います。それに、運もありました。これからも、サッカーの質を上げていきたいと思います。
渋谷巴菜選手(星槎国際高湘南)
たくさんの人の期待に応えたかったし、この仲間たちとの最後の試合なので、どんな形でも結果を残そうという意識を持っていました。試合終了まですごく長く感じましたが、これが決勝の厳しさなのだろうと思いました。ホイッスルが鳴った瞬間は夢のようで、現実なのか分かりませんでしたが、とにかく涙が止まりませんでした。大会を通じて、本当にチームが一つになったという印象があります。今日も苦しい時にも、スタンドからの応援が力になって、最後まで戦い切れました。優勝を素直に、本当にうれしく思います。
黒柳智世選手(星槎国際高湘南)
まだ優勝の実感が沸きません。得点になったFKは、GKが触れないところに蹴ろうと思っていました。自分のゴールで日本一を決められて、すごく気持ち良いし、夢のようです。その後も結構危ない場面もありましたが、みんなで体を張ってくれて、仲間同士で声をかけまくって、絶対に無失点に抑えて優勝するぞという諦めない気持ちで戦いました。でも、まだある課題を克服しながら、またこの舞台に戻ってこられるように、1年間頑張りたいと思います。
今井佑香選手(常盤木学園高)
相手の攻撃に対して守備の仕方がうまくいかなかったし、相手GKの好セーブにやられました。私たちに何かが足りなかったから、こういう結果になったのだと思います。悔しいし、2冠を達成するのは簡単なことではないと実感させられました。インターハイよりも選手権の方が、これで最後なんだというそれぞれの思いが強くなるので、夏とはその違いがあるのかなと思いました。でも、この3年間は本当に私を成長させてくれました。強いチームが勝つわけではないし、何が起こるか分からないのがサッカーです。後輩たちには、しっかり勝ち切れるチームになってほしいです。
第27回全日本高等学校女子サッカー選手権大会
大会期間:2019年1月3日(木)~2019年1月13日(日)[全試合無料]
大会会場:三木総合防災公園(兵庫県三木市)、五色台運動公園(兵庫県洲本市)、いぶきの森球技場(兵庫県神戸市)、神戸総合運動公園(兵庫県神戸市)
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