日本一の女子サッカーチームを決する「第38回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会」が10月22日(土)に開幕し、全48チームが12月25日(日)の決勝を目指して戦います。ここでは前回大会の模様をプレーバックします。
第37回大会にはなでしこリーグから高校や大学のチームまで48チームが出場、約2カ月にわたる戦いが一発勝負のノックアウト方式で行われました。
3回戦までは、早稲田大学(関東/東京)や大東文化大学(関東/埼玉)といった大学勢、ノジマステラ神奈川相模原(なでしこ2部/神奈川)にアンジュヴィオレ広島(なでしこ2部/広島)など下部リーグチームの奮闘が光りましたが、準々決勝にはいずれもなでしこリーグ1部に所属するチームが駒を進めます。
準々決勝を勝ち抜き、ベスト4に残ったのは、日テレ・ベレーザ(東京)、アルビレックス新潟レディース(新潟)、ベガルタ仙台レディース(宮城)、INAC神戸レオネッサ(兵庫)という実力派のチームでした。第36回大会の覇者・日テレと新潟によるゲームは1-1のまま延長戦でも決着がつかず、PK戦にもつれ込む展開に。ここで新潟のGK福村香奈絵選手が相手のキックを3本止める活躍を披露し、チームを2年ぶり3度目の決勝に導きました。
もう一つのカードでは、仙台とI神戸が対戦。序盤は仙台のアグレッシブなプレーに押され気味だったI神戸ですが、前半の途中から中盤での攻防で主導権を握ると、39分、CKの流れから最後は大野忍選手が押し込んで先制に成功します。これでリズムをつかむと、61分には中島依美選手が追加点を記録。このまま2点のリードを守ったI神戸が新潟同様、2年ぶりのファイナル進出を果たしました。
等々力陸上競技場で行われた新潟とI神戸による決勝戦には、この大会限りで一線を退くことを表明していた澤穂希選手が最後の試合に臨むこともあり、単独開催以来最多となる20,379人の観客が詰めかけました。
注目の一戦は、第33回(11年)、第35回大会(13年)と決勝でI神戸に敗れ「3度目の正直」を期す新潟と、澤選手に優勝をプレゼントしようと意気込むI神戸のタイトルに懸ける思いが序盤からぶつかり合います。
川澄奈穂美選手や中島選手を中心にスピーディーなサッカーを仕掛けるI神戸に対し、新潟は自陣をしっかりと固めてから、上尾野辺めぐみ選手が軸となってサイドで攻撃を組み立てていきます。24分には右サイドからのクロスボールに佐伯彩選手がヘディングで合わせるなど、相手ゴールを脅かします。
前半を0-0で折り返した両チームは、後半も互いに譲らず、拮抗した展開が続いたまま、試合は終盤を迎えます。迎えた78分、ついに試合が動きました。川澄選手のCKにファーサイドで待ち構えた澤選手が合わせ、I神戸に貴重な先制点をもたらしました。ここ一番で抜群の勝負強さを発揮した澤選手に後押しされるように、I神戸はこの後、粘り強い守りで最後まで新潟の選手たちに食らいついていきます。
試合はI神戸が1点のリードを保ったままタイムアップ。2年ぶり5度目の優勝を果たしました。澤選手は自身のラストゲームを優勝という形で終えたことについて、「優勝を達成することができてうれしい。ずっと狙っていたゴールも決めることもできた。有終の美を飾れたことは素直にうれしい」と語りました。
第38回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会
2016/10/22(土)~2016/12/25(日)