U-20日本女子代表候補は、7月7日(木)から11日(月)まで、高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングキャンプを実施しました。今年に入ってから5月、6月に続き3回目となる今回の活動は、8月10日(水)に開幕するFIFA U-20女子ワールドカップコスタリカ2022を前に、最後の国内でのトレーニングキャンプとなりました。
初日の午前に、選手とスタッフ全員の新型コロナウイルスの陰性をSmartAmp法検査で確認を取り、午後からオープニングとなるミーティングを行いました。池田太監督からは「今月末には大会直前キャンプがコスタリカで始まる。今回がメンバーの最終選考だけれどここにいる全員がこのチームの一員であることは変わりない」と声がかけられました。チームとしては引き続き「ボール、ゴール、勝利を奪う」をコンセプトに戦っていくことを再確認し、トレーニングに入りました。
2日目には2部練習を行い、午後には早速トレーニングマッチを実施。大学選抜(女子)と30分×2本で行った試合は、開始2分に山本柚月選手がゴールを奪い先制します。その後、16分に失点しますが、後半17分に島田芽衣選手が得点し、2-1という結果となりました。チームとして、本大会を想定し、勝利にこだわることはできましたが、全体的にさらにアラートでいること等の細かい改善点が浮かび上がる試合となりました。
3日目は午前の練習で主にセットプレーの確認を行い、翌10日(日)は、午前に戦術的な落とし込み行ったうえで、午後のU-20韓国女子代表との45分×2本のトレーニングマッチに向けて準備をしました。池田監督は試合前のミーティングで、「今日の試合は、国と国の対決。“チームジャパン”として、アンダー世代であることは関係なく、緊張感を持って試合に臨んでほしい」と伝え、また「チーム全体を視野に入れ、試合に出ている、出ていないに関わらず、全員でチームとして試合を迎えよう」とチームの一体感の重要性を説き、選手をピッチに送り出しました。
試合では、8月のワールドカップ本番でも着用する日本代表のユニフォームを使用しました。新型コロナウイルスの影響により海外遠征を行えなかったこのチームには、現行モデルのユニフォームを着用したことがある選手は少なく、また初めて国際試合を経験する選手もいました。
開始から両チームとも激しく球際に対応した試合は、前半を0-0で折り返すと、後半も一進一退の攻防が続きます。終盤に入り、日本はより多くのシュートシーンを作りますが決めきれず、試合はアディショナルタイムへ。すると試合終了間際、相手ペナルティエリア付近に人数をかけて押し込んだ日本は、最後にゴール前でフリーになった吉田莉胡選手が得点し待望のゴールを挙げます。この得点が決勝点となり、試合は1-0で日本が勝利。成功体験を伴いながら、実りのあるトレーニングキャンプを締めくくりました。
チームは翌11日(月)午前に今回の活動での最後のトレーニングを行い解散。FIFA U-20女子ワールドカップコスタリカ2022に臨むメンバーは7月12日(火)に発表され、今月末から大会の地、コスタリカに渡ります。
監督・選手コメント
池田太 監督
チームとしてアグレッシブに戦うということ、そしてボール、ゴールを奪うということはなでしこジャパンと共通で、このU-20女子代表でもチームコンセプトにしています。
選手のコンディションを見ながらも、これまでのトレーニングキャンプで積み上げてきたことを思い出し、確認することを目的に今回の活動を行っています。8日の練習試合は、WEリーグのシーズンが終わりフルピッチでのプレーが久しぶりとなる選手もいたので、試合勘を戻すということも目的として持ちながら、チームとしてできたこととできなかったことを確認する機会だと考えていました。守備ではまだまだエラーもありますが、連動して相手陣地でボールを奪うという部分で、積極的でアグレッシブなプレーが見られたので、そこは評価したいと思います。攻撃はタイミングがずれていたりパスの質、精度が足りず、今までできていたことでもできていないことがありました。そこのすり合わせは、繰り返しトレーニングする中で伝えていかなければと思っています。
来月のFIFA U-20女子ワールドカップに向けて、世界一になるというのは選手たちが自分たちで決めた目標でもあります。世界の頂点に立つために、世界に向かって日本のなでしこらしさを存分に出して戦っていきたいです。
GK 野田にな選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
多くの方々の協力のもと、国内合宿を実施できたことに感謝しています。これまで積み上げてきたことを再確認するトレーニングを行い、練習試合に臨みました。1試合目、2試合目ともに、拮抗した試合展開でも勝利できたことはチームにとってプラスになると思います。本大会まで時間は少ないですが、さらなるレベルアップのためにチームとして、個人としてこれからも頑張ります。
DF 長江伊吹選手(AC長野パルセイロ・レディース)
女子大学選抜との練習試合は、相手の年代も自分たちと同じくらいでしたし、ワールドカップに向けて大事な試合になったと思います。攻撃は最後の質の部分、ゴール前での個人の能力もそうですし、3人、4人と関わっていくバリエーションが無かったことは課題だと思います。
個人的には2020年ワールドカップを目指すU-19、20女子代表にも関わらせてもらっていた中で新型コロナウイルスの影響で延期になってしまいました。その世代の選手たちからもメッセージをたくさんもらっていますし、そういう選手たちの分も戦いたいです。
MF 吉田莉胡選手(ちふれASエルフェン埼玉)
U-20女子ワールドカップ前最後の国内トレーニングキャンプで、今まで積み上げてきたものを出し切ることを意識して臨みました。
韓国との試合は、私にとっては初めての国際試合ということで緊張もありましたが、試合に出たら落ち着いてプレーすることを考えていました。後半相手の足が止まり、自分たちがボールを保持する時間が長くなり、ゴール前でチャンスを多く作れた中で決めきれずに試合が進んでしまったことは、攻撃陣の今後の課題です。個人として得点できたことは素直に嬉しかったですが、ワールドカップ前最後のトレーニングキャンプでの試合を勝利で終えることができたことで、チームの自信にも繋がったと思います。
FW 山本柚月選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
8日の練習試合は久しぶりのフルピッチでの試合でしたが、自分たちが主導権を握ってプレーし、技術の面でも気持ちの面でも負けない、相手を圧倒するという思いでプレーしました。(自分の得点シーンは)感覚としては気がついたら自分の前にゴールが広がっていた、という感じでした。ボールを失った後も高い位置で切り替えてみんなでボールを奪うことができて、そこからゴールできたことは良かったです。前半、1点を取った後に取り返されてしまった中でも、後半に1点を取りチームとして勝ち切れたことは収穫だったと思います。ただ1点取った後にすぐ追加点が取れなかったことは課題です。守備の面でもまだ少しプレッシャーに行く時に迷いがあり、行ききれない場面もあり失点してしまったので、そこはコミュニケーションを取って改善していきたいです。
FW 島田芽依選手(三菱重工浦和レッズレディース)
個人としては得点を取るという気持ちを常に持ちながらピッチに立っていますし、結果的に女子大学選抜との試合では、は自分自身のゴールでチームの勝利に貢献できたので、良かったと思います。ボールを受けてフリーの状態だったので、しっかりゴールを見て落ち着いて蹴ることができました。
前からアグレッシブにボールを奪いにいくというところは自分の課題でもあるので、意識的にプレーしています。8日の試合では前線から何度かボールを奪えるシーンがあったので、そこは良かったと思います。攻撃はもっとゴール前での味方同士のコンビネーションを高めて、シュートの精度を高めていかなければと思っています。