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【最後の青春ドラマ】ストライカーとして順調に成長を遂げるも届かなかった3連覇…~JFA 第25回全日本U-18 女子サッカー選手権大会・宝田沙織(ワシントン・スピリット)後編 #jfa #nadeshiko

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JFA 第25回全日本U-18 女子サッカー選手権大会が2022年1月3日(月)に開幕します。高校年代の大舞台に立った選手はどのような青春時代を過ごしてきたのか。FIFA U-20女子ワールドカップで世界一を経験し、2019年のFIFA女子ワールドカップや2021年の東京オリンピックにも出場した宝田沙織選手(ワシントン・スピリット/アメリカ)のストーリーをお届けします。

前編はこちら

勢いを持続させてつかんだ大会2連覇

中学進学と同時にセレッソ大阪堺レディースに加わり、高校1年時には下部組織にあたるセレッソ大阪堺ガールズの一員として第19回全日本女子ユース(U-18)サッカー選手権大会(現・JFA 全日本U-18 女子サッカー選手権大会)での初出場・初優勝を経験した宝田沙織は、この頃から年代別日本女子代表にも名を連ねるようになり、2年時の2016年にはヨルダンで開催されたFIFA U-17女子ワールドカップに出場した。優勝を目指して臨んだものの、決勝で朝鮮民主主義人民共和国に惜敗。「この悔しさを次の大会で取り返してやる」。そんな思いで挑んだのが、全日本女子ユースの第20回大会だった。

連覇が懸かるこの大会に向けたチームの状況について、宝田は「雰囲気もとても良かったですし、すごくまとまっていて、『2連覇してやるぞ』という勢いがありました」と振り返る。彼女自身も「得点王と試合を楽しむこと」を目標に掲げ、実際に1回戦のヴィクサーレ沖縄FCナビィータ戦では7ゴールを挙げて16-0での圧勝に貢献するなど、毎試合ゴールを挙げてチームを決勝へと導いた。

決勝の相手は浦和レッドダイヤモンズレディースユース。スタンドには両チームのサポーターの姿もあり、鳴り物での応援も繰り広げられる中での大一番だったが、宝田は特に緊張を感じることもなく、この試合でも2ゴールを挙げて4-0での勝利と連覇をたぐり寄せた。得点時にサポーターが歌ったチャントも彼女の耳には届いていたようで、「『あ、歌ってくれてる!』って、すごくうれしかったです」と語っている。

この年から宝田たちはC大阪堺レディースでなでしこ2部のリーグ戦に参加しており、成人女子のチームの中で3位という堂々の成績を収めている。「1年間、大人相手にサッカーをしてきて、勝てるようになっていたのが自信になりました。その自信を、同年代のチームとの試合で出すことができたと思います」と宝田は語る。揺るぎない自信ゆえにプレッシャーは全く感じず、「連覇に向けて勢いに乗って試合に臨み、自分たちのやりたいサッカーができた」ことを勝因に挙げた。「得点王と試合を楽しむこと」という彼女自身の2つの目標も、見事に達成されたのだった。

こうなると当然、大会3連覇が高校生活最後の目標になる。2017年のシーズン、宝田はなでしこ2部では18試合に出場して22ゴールを積み上げ、得点王のタイトルを獲得。中国で開催されたAFC U-19女子選手権でも5試合に出場して5ゴールを奪い、U-19日本女子代表の連覇に貢献するなどストライカーとして大きく成長し、集大成となる全日本女子ユースの第21回大会に臨むこととなった。

最後の大会はプレッシャーとの戦いに

「チームメート同士で『同年代のチームと戦える最後の大会なので頑張ろう』と声を掛け合っていました。直前にけがをしてしまった選手、大会に出られない選手もいたので、その子たちのためにも優勝しようと言っていましたね」

宝田は大会前の様子をそう振り返っている。しかしこの時、彼女の心の中には、過去2大会とは微妙に異なる感情があった。

「年代別女子代表で優勝したり得点王のタイトルを取ったり、いろいろな意味で充実していたんですけど、3連覇を目指すとなると自分の中でもプレッシャーがありました。得点を決めるぞ、という思いや、3連覇をしないといけない、という思い。自分たちにとって最後の大会という緊張感もありました」

これまでは「楽しみたい」という気持ちを全面に出して戦った。その感情がプレッシャーを消し去り、そのおかげで自分たちのパフォオーマンスを発揮することができた。しかし、この年は緊張感が「楽しみたい」気持ちを上回ってしまった。この微妙な気持ちの変化が、C大阪堺ガールズの結果に影響を及ぼした。

チームは順調に勝ち上がり、宝田も2回戦のスフィーダ世田谷FCユース戦ではハットトリックを決めるなど、エースの役割を果たしている。準決勝ではこの大会のライバルとも言える浦和レッドダイヤモンズレディースユースとのPK戦までもつれ込む死闘を制し、3大会連続で決勝へと駒を進めた。しかしジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18との決勝では、前半に失った1点を取り返すことができず、0-1で試合終了のホイッスルを聞くこととなった。宝田は後半に2本のシュートを放ったが、ゴールネットを揺らすことはできなかった。

3連覇を逃し、しかも同年代のチームに敗北。宝田は「FWとしてやらなければいけなかったことができなかった。高校生活がもう少しで終わるという時に、自分の不甲斐なさを強く感じた試合でした」と決勝を振り返っている。

この大会で初の敗戦は彼女の心に火をつけた。「もっとやらないといけない。負けないぞ、という思いで今も頑張っています」。なでしこジャパン(日本女子代表)として2019年のFIFA女子ワールドカップに出場し、2021年からはアメリカのプロチームに新天地を求めた。この大会で味わったさまざまな感情を糧に、宝田沙織は挑戦を続けている。

大会期間:2022年1月4日(火)~2022年1月10日(月)
大会会場:大阪府/J-GREEN堺

大会情報はこちら


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