11月27日(土)、翌々日にオランダ女子代表との国際親善試合を控えるなでしこジャパン(日本女子代表)は、午前に約90分のトレーニングを実施しました。時折雨が降り、気温計が4度を示す天候での練習となったこの日は、主にゲーム形式のトレーニングを行いました。
この日もステップワークを中心としたドリルからスタートし、ヨーロッパ特有のピッチコンディションに対応する動きを意識しながら身体を温めます。その後ゴールキーパーはセービングとスローイング、パスを織り交ぜたトレーニングに取り組み、フィールドプレーヤーはパス&ムーブでボールフィーリングの確認。それぞれの準備が整った後に再びゴールキーパーとフィールドプレーヤーで合流し、2つのコートで攻守に分かれ、ゴールキーパーからのビルドアップと、それに対応する守備の練習が行われました。アイスランド女子代表との試合で課題に上がった点を意識し、攻撃では前線の選手のコンビネーションでボールを引き出すこと、守備では数的不利でも良いポジションを取って対応することなど、池田太監督が攻守両面に指示を送りながら練習は続きました。トレーニングの最後にはハーフコートでゴールキーパーを含む7対7のゲームを行い、状況に応じ制限されるタッチ数の中でも選手はボールの動かし方を工夫し、ゴール前の攻防の多い見応えあるゲームとなりました。また前日同様、チーム全体のトレーニングが終了した後も数選手は追加でシュート練習を実施。熊谷紗希選手、猶本光選手、成宮唯選手、菅澤優衣香選手がゴールキーパーの池田咲紀子選手、スタンボー華選手、田中桃子選手と相対し、オランダ女子代表戦に向け必要となるトレーニングを各々自身に課していました。
今回の遠征は翌28日(日)が最後のトレーニングとなり、29日(月)の試合をもって締めくくりとなります。貴重な日本国外での国際親善試合をより良い経験とするべく、残す1日のトレーニングに取り組みます。
選手コメント
DF #6 宮川麻都選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
ヨーロッパのチームにはサイドにすごく速い選手がいる印象です。オリンピックでスウェーデンやイギリスと対戦してすごく感じた部分で、自分自身も新チームでそこへの対応力を伸ばしていければと思っています。攻撃しているときのバランスが少し崩れてしまうだけで守備時にそこを突かれてしまうので、攻撃をしていても守備のバランスを考えていければと思います。一方で、攻撃参加していくところは自分の持ち味でもあるので、代表でも所属チームでやっていることを表現したいです。課題は攻守両面でありますが、特に攻撃の時に自分からロングボールを配給できればと思います。
オランダに対しては、やはり2019年の女子ワールドカップで負けた印象が強く、その時自分はベンチでずっと見ていましたが、オランダのパワーやスピードをすごく感じました。(試合に中1日で臨む)オランダチームの調整状況がわからないですが、自分たちは万全な状態でオランダ戦に臨むだけなので、絶対に次は勝ちたいと思います。
DF #12 乗松瑠華選手(大宮アルディージャVENTUS)
遠征の最初は緊張していて、海外組で初めて会う選手もいたのですが、日が経つに連れ緊張が解けてきて、今はここに居られることを本当に幸せだなと思いながら毎日過ごしています。これまで対人や海外の選手と対戦することを意識してトレーニングしてきたので、個々の戦いは自分の出番が来ても勝てるという自信は持っています。オランダ戦で出番があればそこも大事にしながら頑張りたいと思います。
オランダのような相手にはそれぞれの選手がひとつの仕事、ひとりの相手に対してだけではなく、常に2つ、3つ狙いを持ってプレーするということを、フィジカルで差がある相手に対して日本は大事にして戦っていかなければならないなと思います。アイスランド戦を見ていてもある程度ゴール近くのシュートレンジに相手が入ってきたら、今までプレーしていたときよりももう一歩詰めに行かなければと感じました。周りの選手と連係してシュートコースを制限していき、ゴールキーパーとも上手く連係してゴールを守っていく必要性があると思っています。
初めて一緒にプレーする選手もいて最初は周りに合わせる部分もありましたが、初めての選手もいるからこそ自分の良さ、プレーを知ってもらうために自分が引っ張っていくことも必要だと思います。より積極的にDFラインも中盤も、FWも含めて守備のところでもっとコントロールしていきたいと思います。常に声を出してコミュニケーションを取っていきたいです。
DF #20 高橋はな選手(三菱重工浦和レッズレディース)
私自身今回、アイスランドとオランダと試合ができることを楽しみにしていました。その中でアイスランド戦は、特にワイドの23番の選手は本当にパワフルでスピードもあり、しっかり決めてくるところも素晴らしい選手だなと思いながら見ていて、自分も早くこういった選手と対戦したいと思いました。試合に出たらとにかく全力でやることを絶対にやらなければと思っていますし、自分がどこまでできるかというのをチャレンジしたいです。普段トレーニングを積んでいる日本ではなかなか味わえない強度やスピードだと思うので、実際に戦って体感したいと楽しみにしています。
昨日の夜にアイスランド戦の振り返りをして、その中でできたこと、できなかったことを共有しました。今日のトレーニングでは守備での強度を確認しました。対アイスランド、対オランダを意識した強度もそうですが、加えてピッチコンディションが日本と違うので、その点のステップの確認や力の伝え方ももう一度確認しました。
オランダ戦に向けては準備のところが大事になると思います。個人として負けないことはもちろん意識しますが、一方でなかなか個の勝負だけでは難しい相手なので、準備でいかに上回れるか、予測できるかが大切だと思います。
MF #16 林穂之香選手(AIKフットボール/スウェーデン)
アイスランド戦は途中出場でしたが、試合にはファーストプレーからしっかり入れたと思います。海外選手の力強い当たりなどはこの1年間スウェーデンでプレーしていたので、これまでよりは最初から慣れている状態で、しっかりとしたプレーができたのではないかと思います。相手はスピードを持ってショートカウンターで攻めきるというプレーが多く、そこが日本との違いだなと感じました。そういったプレーへの対応が必要ですし、日本もそのようにスピーディーに攻めきってしまう攻撃も織り交ぜていかなければと思います。ずっと同じテンポでボールを回してもなかなかゴールが生まれるチャンスはないと思うので、そこはこれから勝っていくために必要なところかと思います。
代表チームは少ない時間の中でチームを作って勝つことが求められると思うので、こういう遠征やトレーニングキャンプで、一人ひとりがチームの一員としてより良くなるように常に考えて行動する、コミュニケーションを取る、自分がこのチームを勝たせるのだという気持ちをもっと持たなければいけないなと感じています。
国際親善試合
なでしこジャパン対オランダ女子代表
開催日時:2021年11月29日(月) 19:40(日本時間 11/30(火) 3:40)
会場:Cars Jeans Stadion(ハーグ/オランダ)
テレビ放送:BSフジにて生中継