日本サッカー協会(JFA)は、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)、日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)と共に乳がんの啓発活動である「ピンクリボン運動」に賛同し、「ピンクリボン月間」の10月、さまざまな活動に取り組んでいます。
その一環として、21日(木)にはWEリーグとなでしこリーグのチーム、女性審判員を対象としたオンライン形式での乳がん勉強会を開催し、562人が参加しました。トレーニングキャンプ中のなでしこジャパン候補メンバーは、別日に同勉強会を動画で視聴しました。
勉強会の講師に聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長の山内英子先生を招き、乳がんに関する基礎知識、検診の実態、多様な治療方法などをお話しいただきました。山内先生は「日本の女性がかかるがんを部位別に見ると、乳がんが21%で1位です。15-24歳、25-39歳の女性でがんと診断された場合、それが乳がんである割合も高い」と、選手たちの年齢に重ねて説明しました。
次に、WEリーグ選手への事前アンケート調査の結果も紹介。『乳がん検診をしたことがありますか?』という問いに対して173件の回答があり、「ある」は13.8%、「ない」が86.3%でした。
『ご自分の周囲、身近な人で、乳がんにかかった人がいますか?』という問いには全184件の回答のうち、「いる」が18.7%、「いない」が81.3%という結果でした。
このアンケート結果を受け、「選手の皆さんは、世界中で推奨されている対策型検診を受ける必要のない年齢ですが、多くの方が乳がん検診を受けていてびっくりしました」と、山内先生は驚いた表情を見せていました。
また、乳がん検診とはどんなものか、検診を受けるメリットとデメリットを説明し、山内先生は選手たちに、以下の「ブレスト・アウェアネス(=乳房を意識する生活習慣)を身につけてほしい」と提案しました。
1.乳房の状態を知る
2.乳房の変化に気をつける
3.変化に気づいたらすぐ医師に相談する
4.40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける
そして山内先生は「乳がんの進行度が初期の場合、10年相対生存率は、97.6%と高い。なので、進行度初期の段階で乳がんを発見してほしい」と、選手たちに呼びかけました。
勉強会の最後には、サッカーファミリーの中でご家族を乳がんで亡くすなど身近な人で乳がんを経験した方にご協力いただき、実体験などをお話しいただきました。選手たちは、乳がんは自分たちにも身近な病気であることを実感しながら、ピッチ上とはまた違う真剣な眼差しで乳がんに対する理解を深めている様子でした。
コメント
清水梨紗選手(日テレ東京ヴェルディベレーザ)
今まで身近に感じでいない部分があったので、自分自身も家族や親戚にも日常のケアをしたり、健康診断を受けることを考えていきたいです。
高橋はな選手(三菱重工浦和レッズレディース)
乳がんのことや、健診のことを聞いたことはあったけれど、あまり深く考えたことがなかったので、とてもタメになりました。健診や、自分自身でチェックをすることが、早期発見にもつながると思うので、これから意識していきたいと思いました。
船田麻友選手(ちふれASエルフェン埼玉)
身近なところに潜んでいる可能性があることを知り、ここまで詳しくわかりやすく解説してもらえる機会がなかなかないので、お話を聞くことができてよかったです。また、当事者の方が言っていたように、乳がんというものに対して、敬遠してしまいがちな部分がどうしてもあると思います。ですが、きちんと自分の体と向き合い知ることで、早期発見などにつながっていけるようにしたいなと感じました。そして、自分だけでなく、周りの女性に対しても大切なことだと伝えるべきものだと思いました。
新城美月選手(吉備国際大学シャルム岡山高梁)
がんになるということはもちろん怖いけど、発症して放置することのほうがもっと恐ろしいとわかりました。勇気を出して病院にいくこと、なにか異変を感じたら、すぐに行動にうつすこと、それが私たちにできることだと感じました。もし、身近な人がこのような症状になったら、声をかけて、寄り添ってあげられるようになりたいです。
松山夢選手(アンジュヴィオレ広島)
この勉強会に参加する前は、私は乳がんとは無縁だと思っていました。しかし、無縁と思うのではなくて、将来の自分のためにはもちろん、家族や友人などの身近な人のためにも乳がんの知識を知っておくことは大切だと感じました。今回の勉強会で学んだことを家族や友人に共有したいとおもいます。
天野都香沙さん(INAC神戸レオネッサ)
女性チームなのでリーグやチームでの検査をしていくことが必要だなと感じました。トレーナーという立場でチームに関わっている以上、月経・怪我などの対応だけでなく乳がんなどの内科的なところについても更に知識を深める必要があるなと思います。