山口県サッカー協会が、7月25日(日)におのサンサッカーパーク(山陽小野田市)で、普段中体連のサッカー部で男子選手と活動している女子選手の環境改善を目的とした練習会を初めて開催しましたのでご紹介します。
部活で頑張っている女子選手の活動について、今後も情報発信していきます。
コメント
東原秀一氏(山口FA技術委員長)
中体連チームで男子に混ざって活動する女子選手を多く見てきました。そしてそのほとんどが、学年が上がるにつれ試合、特に公式戦への出場機会が少なくなるということに直面していました。最近では、中体連の女子サッカー部や女子サッカークラブの設立もあり、このことが逆に、前述の選手の状況をクローズアップすることになっていました。
そんな折、JFA女子委員会からの働きかけもあり、「中体連女子育成スクール」を技術委員会で立ち上げることにしました。
県中体連サッカー専門部に、中体連所属の女子選手の把握をお願いし、所属学校へスクールの開設などを案内したところ、80名いる女子選手のうち、26名が申し込み、その内20名が第1回目のスクールに参加しました。また、練習相手として、近隣の高校女子サッカー部の選手にも参加していただき、大変有意義な会となりました。
本県では、本スクールの大きな目的として、「サッカー選手としての育成」と「一人の人間としての成長」を掲げ、学校教育の良さをサッカーに取り込むことにしました。ですので、本スクールでは、協会コーチのサポートとして、「高体連や中体連所属の女性指導者」に入っていただいており、将来的には学校教育に携わる女性指導者を増やし、「女性指導者による女子選手の育成スクール」に発展させたいと考えております。
女性指導者の育成と、女子選手の育成、この両方にアプローチし、「サッカーを生涯楽しんでもらえる女性」を増やしていけるように、この活動を協会として支援していきたいと考えています。
矢次美央さん(山口FAインストラクター/長門高校)
山口県内でも中体連で男子に混ざり、活動している選手が多くいることを知り、山口県サッカー協会の小野明FAコーチ、東原秀一技術委員長の協力のもと、初めての試みで不安もありましたが、「中体連女子育成スクール」を開催することができました。初回のスクールは参加人数が心配されましたが、20名の中学生の参加、また長門高校・サビエル高校女子サッカー部員の協力もあり、40名での活動を行うことができました。まず身体の使い方を学び、その後は「サッカーは楽しい!」ということを全員で感じながらゲームを行いました。
日頃は男子選手と一緒に活動をしており、試合出場機会が少なかったり、フィジカル面での差を感じたりしている女子選手ですが、女子選手同士では時には体をぶつけ合い、タフに戦う姿を見せてくれました。何より楽しそうに笑顔でプレーしている姿が印象的でした。まだまだ始まったばかりで改善点はありますが、女子選手に関わる方々からも意見をもらい、今度につなげていきたいと思います。またこの活動が、中体連と高体連をつなぐ機会となり、山口県内の高校でサッカーを続けるきっかけになればと思います。
また、「女性指導者による女子選手の育成」ということで4名の女性指導者が集まりました。約15年前、一緒に山口県選抜選手としてプレーしていた仲間と、立場は変わりましたがこうしてサッカーでつながり、またグラウンドに集まれることができ率直に嬉しかったです。これからは指導者としての技術を磨き、サッカーが大好きな女子選手を育て、一緒に山口県女子サッカーを盛り上げていきたいと思います。
小野明氏(山口FAコーチ/技術専任者)
山口県のサッカーは、多くの諸先輩方のご尽力によって、選手育成のためのトレセン制度や指導者養成制度などが整備されてきました。そして2011年(平成23年)に山口県で開催された、東日本大震災復興支援第66回国民体育大会の際に、多くのサッカー施設が整備されました。それから今年で、ちょうど10年が経ちました。サッカーを愛する県民のみなさまのおかげで、この10年間で、J2レノファ山口の活躍、2019年第74回茨城国体サッカー少年の部第3位ほか、県サッカーは目覚ましい成果をあげてきました。
本年度4月よりFAコーチとして就任するにあたり、県サッカー協会技術委員長、現ユースダイレクター、現チーフインストラクターをはじめ多くの方と、山口県サッカーの現状と課題、今後の進むべき方向性について、何度も話し合いを持ちました。その中で出てきた課題のひとつとして、女子サッカー選手が、4種から3種に上がる際受け皿がないために、多くの女子選手がサッカーを続けることをあきらめ、サッカーをやめてしまうということがありました。前述の山口国体を契機として、県内にも大学、高校にサッカー部が創設され、女子のクラブチームも増えてきました。しかし、10年経った今でも、その課題は残ったままです。併せて、女子の有資格指導者の絶対数が少ないという現状があります。この2つの課題解決に向けて、今回、技術委員長の発案により標記の「中体連女子育成スクール」を開催するに至りました。
活動内容につきましては、すでに山口県サッカー協会HPに技術委員会報告として掲示してありますので、そちらをご覧ください。
このスクールに参加してくれた選手、指導者のみなさんにとって、サッカーが生活の一部として、身近なスポーツとなり、誰もが選手、指導者、審判、サポーターなど、生涯関わり続けられる環境をつくるための一助となるような活動にしていきたいと考えています。
参加選手コメント
堀田羽姫さん(下関市立菊川中学校)
あまり関わりがない人とも交流ができて楽しかったし、自分ができていないところも見つけられたので、参加してよかったと思いました。一人でできるようなメニューも教えてもらったので、家でもしっかり練習しようと思いました。男子に負けないくらい強い選手になりたいです。
篠田樹那さん(下関市立菊川中学校)
普段は男子の中でやっているので、女子の中で通用することと通用しないことがこの機会でよくわかったので、他の大会とかでも発揮できるようにこれから練習していきたいと思いました。この機会を通して、もっとサッカーが好きになれるように、努力していきたいです。