A級コーチジェネラル養成講習会初の女性コース<前期>が6月21日(月)から26日(土)までの6日間、静岡県の時之栖スポーツセンターで開催されました。
全国各地から集まった24人の受講生は最初のガイダンスこそ緊張感がありましたが、講義、コンディショニングゲームを終えたあたりからグッと距離が縮まり、活発な意見交換が増え、2日目からは実技、講義ともにさらに笑顔や熱量が増しました。
山梨学院大学女子サッカー部、JFAアカデミー福島の女子選手がサポート選手として参加してくれた前期の指導実践において、受講生は2種類のコーチングを学びました。1つ目は指導実践中の指導者のコーチング、そして2つ目は一緒にプレーする中で自分の経験を学生に伝える選手同士でのコーチングです。受講生が自らのプレーを通してサッカーの楽しさを表現して伝える、そして声をかけてもらった選手が目を輝かせながらうなずく姿が非常に印象的でした。
指導実践の最終日には、リトリートの守備、自陣に引き込んでからのカウンターという2つのテーマで、影山インストラクターの実践デモンストレーションが行われ、全員が選手役で体験し、その後の講義で全テーマに対して映像を用いて一つ一つ丁寧に確認をすることができました。それによって、間の学習で取り組むべき課題が明確化され、9月に始まる中期には、より理解が深まった状態でスタートできるよう準備を整えました。間の学習では、インストラクターによるメンタリングも実施予定です。女性コースならではの取り組みにより、さらに力をつけて9月にまた元気に集合する予定です。
○期間:2021年6月21日(月)~26日(土)
○会場:静岡県・時之栖スポーツセンター
○インストラクター:影山雅永(チーフ)、大橋浩司、小野剛、塚田雄二
6月21日(月)
講義:ガイダンス
実技:コンディショニングゲーム
講義:ゲーム分析①+プレーの原則
講義:フィジカルコンディショニング
6月22日(火)
講義:GK指導法
実技:GK指導法
講義:コミュニケーションスキル
講義:暴力根絶
講義:プランニング
6月23日(水)
実技:指導実践+振り返り
講義:コーチング
6月24日(木)
実技:指導実践+振り返り
6月25日(金)
実技:指導実践
講義:指導実践振り返り
講義:Emotions Project
6月26日(土)
筆記試験
前期閉講ガイダンス
インストラクターコメント
影山雅永さん(JFA)
今期、JFAでは初となるA級コーチジェネラルの女性コースを立ち上げ、前期スケジュールを開催しました。今秋開幕するWEリーグの監督を目指していただくためにも、また、日本の女子サッカーのリーダーとなれる指導者となっていただくためにも、JFAでは、多くの女性に実力をつけて上位ライセンスを目指してもらいたいと考えています。
女性のみが参加するコースを担当するのは初めての経験でしたが、今回、私自身にとって非常に学びの多い1週間となりました。受講生たちは、相当な覚悟でコースに参加しています。これまで、能力がありながらもチャレンジすることを戸惑っていたり、環境が許さずチャンスを逃していた女性が多かったことも改めて理解しました。JFAとしては、その思いにこたえるため、彼女たちの背中を押しながら、掴んだチャンスを最大限活かし、思い切ったトライができるコースを作る責任があると感じました。
一方の受講生も、参加できた喜びをかみしめながら講義を受け、サポート選手を相手に指導実践に取り組みました。トレーニングの振り返りやグループディスカッションでは、自分たちの意見をぶつけ合いながらも、相手の意見に真剣に耳を傾けます。その姿からは、自らを磨いて、さらに高いレベルの指導者になるという覚悟をひしひしと感じとることもできました。また、コース自体を自分たちで良いものにしていこうという思いから、より参加型な講習会になったと思います。女性だけのコースにはデメリットもあるかもしれませんが、前期プログラムを行う中で、それを補ってあまりあるメリットに溢れた講習会を作り出すことができたと思います。それは、受講生の覚悟、意気込みと、また、受講生との切磋琢磨の中でこそ実現できたことであると感じています。そのことに、インストラクターとして気付かされたことは喜びでもありました。このコースが女性のサッカー指導者にとって希望に満ちたものとなるよう、受講生とともに中期、後期にも取り組んでいきたいと思います。
受講生コメント
松長佳恵さん(三菱重工浦和レッズレディースユースコーチ)
まず初めにコロナ禍で大変な中、コースを開講していただきありがとうございます。時之栖にて素晴らしい環境の中、充実した時間を過ごすことができました。特に印象に残ったことは、言語教育の講義でした。私は、選手に質問する際、「今日の試合(練習)どうだった?」という表現を頻繁に使っていました。選手がどのように考えているのかを知りたくて、選手が自由に回答をできるようにと考えて質問しているつもりでした。でも、私自身に知りたいことがあるのならば、具体的な質問を投げかけ、出来るだけ早くゴールにたどり着くべきだと学びました。そして、その方が選手も答えやすくなることを理解しました。他にもとても興味のあるお話しをして頂きました。今後の指導現場に活かしていきたいと思います。また、指導実践や他の講義も深い内容で、良い学びの時間となりました。インストラクターの皆様、講師の皆様、そして補助学生のみなさんありがとうございました。これから間の学習を含め、たくさんのことを吸収し、中期・後期も頑張りたいと思います。
伊藤知沙さん(オルカ鴨川BU監督)
今回、現在所属しているチーム・選手をより強くしたい、また、B級受講から3年が経過し、自分自身のサッカー観に不安を感じていたことから、A級を受講させていただきました。6日間の講義、指導実践、受講生同士のディスカッションを通して、自分のサッカーコンセプトを持つことの大切さを学びました。B級、C級ではサッカーの原理原則を学び、A級ではそれを自分の考えとして選手に伝えることにチャレンジしています。
正直、まだ自分のコンセプトが確立しているわけではありませんが、分析の方法、プランニング、コーチングを学び、また、インストラクターとの面談を通して、少し自分の中で整理でき始めたのではないかと思います。間の学習ではそれをもっと具体的にし、中期、後期に臨みたいと思います。全国から集まった志高い仲間と、切磋琢磨して中期、後期も実りある講習会にしていきたいと思います。