なでしこジャパンは20日(土)、トレーニングキャンプの4日目を迎えました。
あいにくの雨に見舞われたこの日のトレーニングは、1対1、3対3、5対5といった同数の対人メニューを中心に行われました。前日のミーティングで確認した守備を実践しながら、同時に攻撃面にもアプローチ。サッカーとは攻守が常に一体であること、強度の高い守備こそが質の高い攻撃のトレーニングを生むという考えの下にコーチ陣の指導にもメッセージが込められます。「ボールの移動中に1m寄せられるか寄せられないか。この小さな違いを大切にできるかどうか」と大部由実コーチの指導にも熱が入ります。トレーニングの最後には今回のキャンプで初めて11対11のゲームを実施。10分を2本という短い時間でしたが、守備のコンセプトを、実戦を通して全員で共有する貴重な時間となりました。
この日はトレーニング前、練習会場の姶良市の湯元敏浩市長がチームを訪れ、「東京オリンピックの年に会場に選んでいただけたことは大変に光栄です。ぜひ頑張ってください」と激励がありました。高倉麻子監督も、「皆さんのご理解とご尽力のおかげで活動させていただけています。ピッチも素晴らしく、本当にありがとうございます」とチームを代表して感謝の意を伝えました。
選手コメント
GK 山下杏也加選手(INAC神戸レオネッサ)
最後に参加した昨年10月のキャンプに比べると、攻守に渡ってより目的が明確になった印象で、その上でトレーニングに臨んでいて、東京オリンピック優勝というところに向けてこれまで以上にはっきりと取り組めています。練習中も、ビルドアップという点についても意図があるというか、考えながらやっていると伝わってきます。そうした中で自分自身がもっと視野を広げないといけないという焦りと、もっとリーダーシップをとらないといけないとも思っています。昨年11月の活動は無理をしないというところで参加を見送らせてもらったのですが、そこは高倉監督や大橋GKコーチの理解に感謝しています。活動の様子は聞いていて、例えば男子チームとのトレーニングマッチに勝ったという話を聞いて焦りもありましたし、このままでは代表に居続けることはできないと思い、頭ではわかっていても体は無理させられないというもどかしさの中でもトレーニングを続けてきました。昨年は自分のメンタルが不安定で、そうした問題に向き合う時間でした。近くにいたベレーザのチームメイトがサポートしてくれたおかげでちゃんとサッカーに向き合えたので感謝しています。今シーズンはINACに移籍したのでベレーザの選手とは久々に会いましたが、嬉しいというか変な気持ちというか。一緒に戦ってきた選手が自分を見て成長したなと思ってもらえれば嬉しいですし、高めあってきた仲間なので、チームが変わってもそういった関係性は続けていきたいです。移籍すると新しい環境で目指すサッカーも違います。そうしたことと、代表でみんなが集まることは似ていて、そうした環境下でコミュニケーションを取ることの難しさもあらためて学びました。コロナ禍で年明けからの代表活動が延期になり、自分自身焦っていた部分もあり、その中で今回活動ができている喜びであったり、色々な人に支えられているということに対しては東京オリンピックで結果を出して応えることが大事だと思っています。
DF 南萌華選手(三菱重工浦和レッズレディース)
今回は木下選手や浜野選手が加わって、他にも若めの選手が多いですし、しっかりと自分の力を出そうと積極的にトライしているのでチームとして勢いがありますし、いいトレーニングができています。久しぶりの活動で、チームとして積み上げるべきところを積み上げて、個人としてはまず守備をいちばんにチームとしての連携を高めていきたいです。普段より長めに活動できるので、細かいところを追求していきたいと思います。4月の試合に向けて攻守の課題を全員が理解しながら取り組めていると思います。久しぶりの試合なので、チームでトライすべきものをトライして、ミスも出ると思いますがそれを苦にせずにチャレンジしていきたいです。自分も若いと言えないくらい年下も代表に入ってきているので、年齢とか関係なくチームの中心となれるように、自分から発信して、要求して、センターバックというポジションでもあるので声がけしていきたいです。いずれは熊谷選手を超えられる選手になっていきたいですし、そうでないとなでしこジャパンが強くなっていけないと思うので、もっと自覚を持って取り組んでいきたいと思います。世の中がこのような状況の中で活動ができているのは、いろいろな人の支えの上に成り立っていると思うので、本当に感謝しています。サッカー選手として自分に何ができるか考えたときに、プレーで感謝を伝えることだと思っています。今シーズン始動してからもやるべきことをやってきたつもりなので、オリンピックに向けてこのまま全力で取り組んでいければと思います。
FW 上野真実選手(サンフレッチェ広島レジーナ)
東京オリンピックが近づいていることもあって、皆で危機感を持って取り組めていると思いますし、メンバーに入れるように日々競争だなと思っています。今自分たちがサッカーできているのは、影で支えてくれる方々、協力してくれる方々のおかげなので、感謝しながら取り組んでいます。合宿はハードに取り組めていますし、自分の調子も上がってきていると感じています。東京オリンピックにむけて厳しい競争になりますが、FWとして点を取る部分や、前線でボールを収めて味方のために時間を作るというところは強みだと思っているので、チームに還元したいです。東京オリンピックではまずはメンバーに入れるように練習から取り組みたいですし、試合に出られるようにひとつひとつ積み上げながら頑張りたいと思います。今季からWEリーグという日本のトップレベルでプレーできることには嬉しさを感じています。移籍して、近賀選手や福本選手は世界一を経験していますし、ピッチ上でもピッチ外でも学ぶことが多くて、とても充実した生活を送れています。ここ鹿児島は中学・高校の6年間過ごした土地でもあるので、懐かしさを感じながらも、ここで活動できることは嬉しいです。中・高の6年間は成長する部分が多く、サッカーに対してもそうですし、人生を学んだ6年間でした。