JFAアカデミーでは「常にどんな時でも(日本でも海外でも)ポジティブな態度で何事にも臨み、自信に満ち溢れた立ち居振る舞いのできる人間の育成」というフィロソフィーを掲げ、真のエリートを目指して日々活動しています。
JFAアカデミースタッフ通信では選手たちの日常の様子や、日々の活動を詳しくお伝えしています。今回JFAアカデミー今治のレポートを担当するのは影山啓自チーフコーチです。
JFAアカデミー入校
JFAアカデミー今治チーフコーチの影山啓自です。今回は4期生担当コーチとして、卒校する4期生(中学3年生)の3年間を振返ります。
3年前、4期生12名はJFAアカデミー今治に入校しました。彼女たちは大きな決意を持ちアカデミー生活をスタートさせました。しかし親元を離れての慣れない生活には苦労をする場面が多く見られました。洗濯や身の回りの整理整頓、食事などの寮生活、また新しい環境下における中学校生活、それぞれの自身の夢に対する自立に向けた取り組みの始まりです。
毎日のトレーニングや週末の所属チームでの活動を積み重ね、JFAアカデミー今治での生活にも少しずつ慣れてくるなかで大切にしてきたのは「意識→行動→習慣化(自動化)」の取り組みです。特に何事に対しても取り組みの質を意識させることに重点を置きました。そんな中で彼女たちが仲間で掲げた目標は「最高の学年になる~質の追求」というものでした。
入校から一年近く経過してくると、それは自身の短期目標設定、目の前の事への挑戦に変わり、日々のトレーニングや学校生活、寮生活での行動にも徐々に変化が見られるようになりました。しかしながらそう簡単に結果が見えてくるものでもなく「本当に大切なことは何か」と選手たちに問いかけることが増えました。目の前の結果、短期での結果ももちろん大切ですが、自身の大きな夢、目標に立ち返り、質の高いプロセスをいかに継続して積み上げられるかということの大切さに次第に選手たちは向き合い始め、時には上手くいかず、失敗に悔し涙を流し、お互いを励まし合い、仲間の大切さにも気付きを得ていったように思います。
中期目標づくり
アカデミー活動も2年目を迎え、自身の短期目標に向けて仲間とともにそのプロセスに向き合うことができるようになってきた選手たちに、3~5年後の自分について考えてもらいました。その中にはこれからの進路も含まれています。各高校・クラブの特色や詳細を調べることも重要ですが、まずはどこに行くかという考えではなく、自身がどうなっていきたいのか、あくまで夢に向かう自分の思いに向き合ってもらいました。少しずつ具体化していく夢や目標に対してのキャリアプログラムを想像することは、実際に我々大人においても大変難しく、中期目標づくりにおいては、親御さんも交えて段階的に時間をかけて取り組んでいきました。
その結果、これからの自分に必要なことは何か、またどうすれば大きな夢や目標に近づいていくことができるのかという考えが実際の進路に対する意思決定に繋がり、中期目標の具体化に取り組むことで、またひとつ彼女たちが次のステップへ成長していったように思います。
最終学年を迎えて
4期生においては、コロナ禍で例年の活動とは大きく違う最終学年を迎えました。
3年間のアカデミー活動のなかで、唯一の海外遠征の中止や中学校の休校措置、また感染防止対策を講じたトレーニング、所属チームの活動制限など、本来ならば活動を通じて会得すべき多くの経験値が十分に得られませんでした。
しかしその反面、新しい生活様式、感染症対策を講じていくなかで寮生活や学校生活の見直しに向き合うことができました。例年に比べても自分自身や仲間と向き合い、協力する時間がより一層増えました。またWebの活用によるリモートでのプログラム実施など、離れていても繋がっていける新たな試み、また今後へ向けた可能性も見出すことができました。
デメリットばかりに気を取られず、与えられた環境をポジティブに捉え、創意工夫し自分たちらしく楽しむ。そういった姿勢、逞しさが身に付いたことは、今までにない大きな成長に繋がったと感じております。
卒校を迎えて
卒校を間近に控えた選手たちからは、このアカデミーでの3年間で積み上げてきたプロセスに対する達成感と自信に満ち溢れている様子が伺えます。また同時に次なるステップへ向けた課題へのチャレンジに対する意欲も強く感じます。そして何より、自身を3年間支えてくださった多くの周りの方々への感謝の気持ちの表れが、彼女たちの成長を確信させてくれています。
3年前に決意したそれぞれの夢が、入校時よりもさらに大きく強くなって卒校していく姿を見て、喜びと同時に感謝の気持ちが絶えません。4期生12名のこれからの前途に苦難の先に幸多かれと願います。4期生卒校にあたり、日頃よりJFAアカデミー今治の活動に多くのご理解、ご協力いただいたすべての方々に感謝、御礼申し上げます。