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【最後の青春ドラマ】ケンカばかりの姉妹が名門・常盤木学園へ~第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会・沖野くれあ(ASハリマアルビオン)&沖野るせり(ニッパツ横浜FCシーガルズ)前編 #jfa #nadeshiko

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第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会が2021年1月3日(日)に開幕します。ここでは名門・常盤木学園高校で大会に出場した沖野くれあ選手(ASハリマアルビオン)と沖野るせり選手(ニッパツ横浜FCシーガルズ)の姉妹の高校時代のストーリーをお届けします。

良きライバルであり、最大の理解者――。沖野くれあと沖野るせり。これは北海道苫小牧市出身の2歳差の姉妹の物語だ。

姉のくれあがサッカーを始めたのはサッカー経験者の父の勧めがあったからだった。小学校1年生で隣の小学校の少年団に入団。しかし、「サッカーは男の子のスポーツ」と思っていたくれあはサッカーを心の底から楽しめていなかったという。

しかし、4年生のときに女子選手が多くいる中央FCファンタジスタに移り、同時期に苫小牧市の女子トレセンがスタートした。「同年代でこんなに多くの女の子がサッカーを楽しんでいるんだ」。そこからくれあは「本気でサッカーを頑張ろう」とサッカーに打ち込んでいった。この心境の変化がなかったらこの物語の行方は大きく変わっていただろう。

当時の姉妹の関係は、「毎日ケンカばかりだった」(るせり)と決して良好ではなかった。家の庭にはサッカーゴールが置かれていて、そこで二人で自主練習するのが日課だった。負けたほうが怒り、もう一度勝負する――。「どちらも負けず嫌い」(くれあ)の姉妹にあって、言い争いが絶えなかった。それでも姉はサッカーを続け、妹は後に続いていった。

中学生になると共にクラブフィールズ・リンダに加入。姉妹は中学生から社会人までの女子選手が在籍するクラブでメキメキと力を付けていった。この頃から姉妹でサッカーをしているため、比較されることもあったそうだが、「プレースタイルも全く違って、似ているのは走り方くらい。自分のいいところは妹にはないし、妹のいいところも私にはない。本当に真逆なんです。だから比べられてもあまり気にしたことはなかった」とくれあは述懐する。

くれあは進学先に常盤木学園高校を選択する。高校女子選手権最多優勝(5回)を誇る名門校だということはもちろん、リンダの卒団生である熊谷紗希(オリンピック・リヨン/フランス)と同じ道を歩みたいという思いが背中を押した。両親は「受かれば奇跡」、当人も「入れるなら頑張ろう」とそこまで自信がなかったが、見事に入学が決まったのだった。

くれあは親元を離れ寮生活をスタートさせる。入学早々にホームシックになり、母に泣きながら電話したこともあったというが、厳しい環境下で、予想外にも1年時からポジションを奪取するのであった。当時3年生の小林里歌子(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ)がけがにより長期離脱。その空いたポジションにくれあが抜擢されたのだ。「代わりにはなれないけど、失敗してもいい。全力でプレーしようと思っていた」と振り返るくれあはプレナスチャレンジリーグや練習試合で経験を重ね、周りの信頼を勝ち取っていく。そして、初めての高校女子選手権を迎える。

第24回大会の1回戦、日ノ本学園高校戦は前回大会の決勝カードということもあり、多くの注目を集めた。くれあはこの試合に先発出場するが、途中交代。その代わった選手が起点となり常盤木学園は先制ゴールを奪い、そのまま1-0で勝利した。

前回大会のリベンジを果たし、「トーナメント表を見ても日ノ本学園に勝てばいけるという油断もあった」(くれあ)。優勝候補の常盤木学園は2回戦で常葉学園橘高校にPK戦の末に敗れてしまったのだった。

小林や市瀬菜々(現マイナビベガルタ仙台レディース)らが卒業し、「周囲の期待値も低かった」と述懐するが、2年生に進級するにあたってくれあは「エースとして、中心選手になれるように頑張ろう」と決意していた。

その言葉通り、自身2度目の第25回大会はエースFWとして迎えた。1回戦の柳ヶ浦高校戦、2回戦の四国学院大学香川西高校戦を難なく勝ち上がり、準々決勝で修徳高校と一戦に臨んだ。試合開始から点の取り合いになり、くれあ自身も52分に3-3の同点ゴールを決める。しかし、後半のアディショナルタイムに失点し、敗退が決まった。

「あと一歩のところで負けてしまった」という思いと共に、「選手権は1回負けたら終わり。一試合一試合、戦うのが怖かった」というくれあ。失意の中で、くれあは最高学年を迎え、妹のるせりもまた姉の後を追うように名門・常盤木学園の門をたたくのであった。

中編は1/1(金・祝)に掲載予定です。

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第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会

大会期間:2021年1月3日(日)~2021年1月10日(日)
大会会場:三木総合防災公園(兵庫県三木市)、五色台運動公園(兵庫県洲本市)、いぶきの森球技場(兵庫県神戸市)、ノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)

大会情報はこちら


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