Associate-Proコーチ養成講習会の第2回目の集合研修(モジュール2)が、11月24日(火)から11月28日(土)までの5日間、高円宮記念JFA夢フィールドで開催されました。
受講者は、9月のモジュール1の後、各指導現場で2度にわたるメンタリングセッションを行い、それぞれに成果と課題を持ってモジュール2に臨みました。
初日は、「ともにプレーする考え方」をテーマに障がい者サッカーについて学ました。2日目の午前中には、元日本代表監督の岡田武史さんから、「指導者」や「現場での課題」に関する講義を受け、その日の午後から2日半にわたり指導実践を行いました。夕食後には毎日プレゼンテーション実習をこなしながら、最終日は、班別のゲーム分析の発表で締めくくりました。
期間:2020年11月24日(火)~28日(土)
会場:高円宮記念JFA夢フィールド
スクールマスター:眞藤邦彦
コースダイレクター:小野剛、今井純子
11月24日(火)
講義:障がい者サッカーガイダンス
実技:ともにプレーする考え方(障がい者サッカー実技)、振り返り
講義:指導実践準備
11月25日(水)
講義:「監督とは、指導者とは」、「現場に起こる課題」(講師:岡田武史氏)
実技:指導実践、振り返り
実習:プレゼンテーション実習(パーソナルゴール)
11月26日(木)
実技:指導実践、振り返り
実習:プレゼンテーション実習(パーソナルゴール)
11月27日(金)
実技:指導実践、振り返り
実習:プレゼンテーション実習(パーソナルゴール)
11月28日(土)
実習:ゲーム分析発表
講義:振り返り
コースダイレクターコメント
小野剛技術副委員長
モジュール1を終えて約2ヶ月、コロナ禍の状況ではありましたが、関係する皆様のおかげで再び夢フィールドにて一堂に会した研修会を行うことができたこと、とても嬉しく思います。
その間各受講生はオンラインでの講義とともに、各自に一人ずつ担当しているメンターとともに所属チーム (あるいは地元の男子チームの胸を借りて) 指導実践&メンタリングと研鑽を積み重ねてきた日々でした。
「自分のプレーモデルが明確でなくては選手には伝わらない」「一瞬でしっかりとプレーが分析できなければ納得させられる指導には結びつかない」。メンタリングサイクルの中で多くの失敗を重ねながらも、メンターとともにチャレンジを重ねてきた成果がジワジワと現れてくるモジュール2だったと思います。その意味でも現場に足を運びしっかりと寄り添って成長を図ってくれたメンターの方々にも頭の下がる思いです。
モジュール2では、岡田さんのレクチャーの中で出てきた「指導者としての覚悟」が受講生の胸にずっしりと響き、「戦術はもちろん重要だが『戦術ボードよりも重要なもの』」と度々語ったリーダーとしてのマネジメントは、一人一人がその意味をかみしめ自分の中で咀嚼しながら指導実践に生かしていくことに繋がったと思います。
「チャレンジすればするほどまた新たな壁」といった、みんなでもがきながらの日々でしたが、そんな指導実践の最終日のことです。サポートプレイヤーの大学生たちの目の色がどんどん変わっていきました。最終セッションのゲームでは失点された側のチームがボールを手にダッシュでキックオフに向かい、また、終了のホイッスルで片方のチームはガッツポーズで歓び、もう片方のチームはパタンと膝から崩れ落ちるなど、指導者養成のゲームではなかなか見ることのできない光景を目にすることができました。「戦術ボードよりも重要なもの」に対して何とかそこにたどり着こうと頑張る姿にこちらも胸が熱くなったのが鮮明に蘇ってきます。
残念ながらこの状況下で多くの指導スタッフには来てもらうことができませんでしたが、終了後、早速メンターの方々から連絡をいただき、みんな本当に気にかけて育ててくれているということを改めて実感できました。
スクールマスターとして先陣を切ってくれた眞藤さん、エキスパートの観点からアドバイスを与え続けてくれた川俣GKプロジェクトリーダーと菅野フィジカルプロジェクトリーダー、そして専門的な観点から的確なアドバイスをいてくれた影山U-19日本代表監督、狩納U-17日本女子代表監督、今井女子委員長、選手役として頑張ってくれた江戸川大学サッカー部の選手たちはじめ、多くの方々の協力でコースを開催できたこと、この場をお借りして感謝申し上げます。
「先人が重い扉を開き、次の世代が女性も指導者として生計を立てていく道を切り開いてきた。我々はそれをさらに大きく広げ、後進たちがもっと入って来てしっかり歩めるような道を築いていこう」
WEリーグの監督というだけでなく、女子サッカーのリーダーとなるべく必死でもがきながら頑張っている、そんな彼女たちのさらなる向上を願わずにはいられない気持ちがさらに強くなった研修会でした。
講師(GK)コメント
川俣則幸 JFAインストラクター
9月のモジュール1では、GKインストラクターの立場から、指導実践を見させて頂きました。そこから、皆さんがメンタリングサイクル(受講生に一人ずつメンターがついて、指導実践をアドバイスする試み)を経て、どれくらい成長されているか楽しみに、モジュール2に参加させていただきました。
モジュール1の指導実践では、監督がトレーニングのトピックにおいて、GKに対して、「何を」求めますか?それを実現するために、「いつ」、「どこで」、「だれが」、「どのように」働きかけるか準備をする。こうした点に取り組んで頂きました。
モジュール2では「何を」求めるかが明確になりました。その上で、GKの戦術的な役割をどの様に落とし込むのか?また、そのベースとなる、GK自身の判断の精度をどのように上げるか、ここにGKコーチとアシスタントコーチで分担して取り組んで頂きました。
GKだけでのウォームアップ、トレーニングで何をどこまで準備するのか?どのようなタイミング、状況でチーム練習に合流することがより効果的なのか?更にゲーム形式の中で、監督からどのような働きかけを行うと効果的なのか、指導実践を重ねる毎に、皆さんが具体的なアクションを起こし、選手を改善していく姿が見られました。
皆さんの更なる成長に期待しています。
受講生コメント
田代久美子さん(山梨学院大学サッカー部(女子)監督)
モジュール1から約2ヶ月間、オンライン講習やメンタリングなど様々な学習をしながら、今回のモジュール2に臨みました。まさに、前回出た課題に各々が真摯に向き合い、取り組んできた成果を見せる期間であり、「今の自分」をさらけ出すことで、更なる成長の気づきをもらえる期間でもありました。
今回も様々なプログラムを経験する中で、チャレンジすることはもちろん、周到な準備の重要性を学びましたし、岡田武史元日本代表監督の講義では、監督(リーダー)としてのマネジメント力や心構えについて、経験を踏まえたお話を聞かせていただき、大変勉強になりました。次回のモジュール3に向けて、日常を大切にしながら、成長に費やす日々を送っていきたいと思います。ありがとうございました。
柳井里奈さん(INAC神戸レオネッサコーチ)
初日の「ともにプレーする考え方」では、初めてアンプティーサッカーなどを経験しました。みんなが一緒になってサッカーを楽しむためにもお互いのことを知ることは凄く大切なことだと感じました。
2日目の午前には岡田武史さんのお話を聞かせていただきました。私自身が今後指導者として生きていく上でためになる言葉が多く、とても刺激的な内容でした。また聞き手を惹きつける話の構成や言葉選びなども、とても勉強になりました。
2日目の午後からは、指導実践やプレゼン発表を行いました。他の受講生の指導実践やプレゼンを観たり聞いたりする中で、一番強く感じたことは「熱量」です。受講生全員が「少しでも選手が良くなるために、少しでもチームが良くなるために、成長するために」を常に念頭に置き、顔を合わせながらのディスカッションは内容の濃い時間となりました。皆さんの「熱量」に負けないように、私自身も常に学ぶ姿勢を持たなければいけないと思いました。そのような「熱量」を感じることができるのは、集合講習会でしかできないことだと思います。
コロナ禍で大変なことが多い今の時期に、こうして参加できたのは、多くの方々のご尽力があってのことだと思います。そうした方々に少しでも何かを返せるように、明日からの日常で、今回の講習会で感じたこと、学んだことを生かしていきたいと思います。インストラクターさんを始め、今回の講習会に携わっていただいた皆様ありがとうございました。