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[特集]海外で活躍する女子サッカー選手 熊谷紗希選手(オリンピック・リヨン/フランス)インタビュー #jfa #daihyo #nadeshiko

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WEリーグ開幕を来秋に控える日本女子サッカー界。海外で活躍する女子選手に海外の環境面や近況についてインタビューを実施します。第1回目はなでしこジャパン(日本女子代表)でキャプテンも務める熊谷紗希選手(オリンピック・リヨン/フランス)に話を聞きました。

オンライン取材日:2020年9月17日(木)

――2011年にドイツのフランクフルトに移籍しました。日本との大きな違いを感じた部分を教えてください。

熊谷 日本と比べてサポートやカバーリングの概念があまりなく、自分のエリアは自分で守る、というスタイルは、なじむまでに時間がかかりました。とにかくボールに強く行く、目の前の相手にアタックする、という考えがベースにあって、それで抜かれたら他のDFが対応するスタイルなので、無理だと思うタイミングでも「アタックに行け」と言われるのは日本と大きく違いました。

――では、環境面で違いを感じた部分はありますか?

熊谷 日本にいた時は学生だったので、日中に学校に行って勉強をして、夜に練習をする日々を過ごしていました。ドイツにはプロとして渡っているので全てが違いましたし、ドイツ語を勉強するなど、自分に使える時間が日本にいた時よりかなり長くなりました。

――2013年からはフランスの強豪オリンピック・リヨンでプレーしています。

熊谷 リヨンは環境面やクラブとしての女子チームへの力の入れ方など、欧州の中でもトップレベルにあります。練習場やロッカールームは日本ではちょっと考えられないような環境ですし、アウェイゲームではプライベートジェットで移動させてもらっています。プレーしやすい環境が整えられている反面、選手全員がプロなので、それなりの責任も求められます。

――UEFA女子チャンピオンズリーグ決勝戦での決勝ゴールは日本でも報じられました。ゴールを決めた瞬間、優勝が決まった瞬間の気持ちを教えてください。

熊谷 前半立ち上がりから得点を狙っていました。自分たちのフォーメーションに相手が慣れていなかったのでかなり自由にプレーでき、その中でいい時間帯にゴールを決められてすごくうれしかったです。優勝の瞬間は最高の気分でした。優勝は何度も経験していますが、その時、その時で違う思い出があります。今年は新型コロナウイルスの影響で約2カ月半、チームとして活動できない時間があった中での開催でしたし、大会4連覇中だったので、他のチームの「リヨンを倒す」という気合を強く感じました。勝ち続けることは簡単ではないと感じながら戦っているので、その意味でも今回の5連覇は、今までとは一味違う喜びがありました。

――大舞台を何度も経験し、勝負強さを備えている印象があります。緊迫した試合で力を発揮するためにやっていることはありますか。

熊谷 いつもどおりやろうと思って試合に臨んでいるので、CLの決勝でもFIFA女子ワールドカップの決勝でも、リーグ戦の1試合でも、心構えは特に変わらないです。大一番だから、と緊張することもないですね。ただ、昨シーズンで言えば、クープ・ドゥ・フランスの準決勝は緊張しました。それまで約4カ月半、公式戦から離れていましたし、いろいろな思いもありましたので。

――日本では来年秋にWEリーグが開幕する予定です。日本で女子のプロリーグができることについて、率直にどう思われますか。

熊谷 プロリーグができれば日本女子サッカー界のレベルアップにもつながると思いますし、何より女の子たちが目指す場所、プロの女子サッカー選手になるという夢ができるのは素直にうれしいですね。

――欧州でもプロ化が進み、ワールドカップで好成績を残す国が出てきています。実際に欧州のチームと対戦して、プロ化の影響を感じることはありますか。

熊谷 イングランドは男子のビッグクラブが女子チームを持つようになり、強豪国のオーストラリアやアメリカから多くの選手が移籍しています。2019年のワールドカップでベスト8がアメリカ以外全て欧州のチームだったことを考えても、各国が成長しているでしょうし、今後はチャンピオンズリーグでも1試合1試合が今まで以上に難しくなるだろうな、という印象があります。

――東京オリンピックは2021年に延期になりました。大会に向けての思いはいかがでしょうか。

熊谷 これだけ大きな大会が自国で開催される機会は一生に一度、あるかないかだと思うので、思い入れはすごく強いです。延期になりましたけど、もう1年準備できるということでもあるので、大きな目標として引き続き、準備していきたいですね。

――海外で10シーズン目になりますが、海外で長く活躍するための秘訣を教えてください。

熊谷 自分に求められている役割を理解し、生きていくすべを見つけることですね。それから、全てを受け入れることも大切だと思います。日本と違うのは当たり前ですし、納得できないこともありますが、そういったところを受け入れ、ぶれずに貫き続ければ、長くプレーできると思います。

――最後に、2020-21シーズンに向けての意気込みをお願いします。

熊谷 まずはけがなく1年間プレーすることが大きな目標で、その上でタイトルが取れればいいと思っています。得点数など具体的な目標を立てるのはあまり得意ではないので、とにかく全力で頑張って、目に見える結果につながればうれしいですね。


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