日本サッカー協会(JFA)は8月11日(火)、Associate-Pro (A-Pro) コーチ養成講習会の受講説明会をオンライン形式で実施し、10名の女性指導者が参加しました。
「WEリーグ所属のチーム及びWEリーグ所属のプロ選手の指導ができる人材を養成すると同時に、世界のサッカー界における女性指導者のリーダーとなる人材を育成する」ことを目的に新設されるこの講習会は、約9か月に及ぶコース期間中に、集中型の講習会に加え、受講者が所属するクラブにおけるメンター制度を取り入れた指導実践、また国内外の講師によるオンライン講義や海外視察研修も組み込まれています。
説明会の冒頭に登場した反町康治技術委員長は、「私たち技術委員会としても男女の垣根を越えてこのプロジェクトに力を入れていきます。来年WEリーグが良い形でスタートし、そして継続させていくために非常に重要なプロジェクトだと考えています」と話しました。続いて、本講習会のコースダイレクターとなる小野剛技術副委員長から設立経緯や狙いが、そしてスクールマスターとなる眞藤邦彦JFAインストラクターからは具体的なコーススケジュールや内容についての説明がなされました。
「Associate-Pro (A-Pro) コーチ養成講習会」の受講生は14日(金)に決定し、9月の集中講座から開始します。
説明者コメント
小野剛コースダイレクター(JFA)
来年いよいよWEリーグが開幕します。本来であれば、今年2020年に東京オリンピックとFIFA女子ワールドカップ招致、そして来年2021年にはWEリーグがスタートし、2022年から国体の女子U-16化という一連の流れがあった中で、残念ながらワールドカップ招致を断念せざるを得なかった経緯もありました。このような状況で、WEリーグをいい形でスタートさせ、女子サッカーだけでなく日本サッカー全体の発展につなげたいと思っています。このプロジェクトの柱はふたつ。「普及」と「次世代を牽引するリーダーの育成」です。後者がまさにこの場にあたるわけですが、WEリーグの指導者を育てることを念頭に置いた講習会であるという以上に、コース修了後には堂々と海外に出ていける国際的指導者であったり、次世代を担うリーダーの育成だと思っています。やって終わりではなく、彼女たちが後進を育て、女子サッカーを、ひいては日本のサッカーをどんどんリードする、そういうことを望んで作ったコースです。ひいてはこの取り組みが、立ち遅れる日本の女性の社会進出の突破口になってほしいという思いもあります。
このコースは、「Next decade」、つまり、指導者養成の10年後の姿を先取りしてスタートするものです。従来のように、全員で集まって、こちらが用意したプログラムでやってきたのはとは今までとは違う。私たちエデュケーターが現場に出向き、現場で起こる問題に向き合い、実践に応じた学びを深める形です。
今日の説明会には多くの方に参加いただき、オンラインではありますがスクリーン越しにとても高い意欲を感じました。主体的に取り組んでくれる熱意、情熱を感じ取ることができ、「このコースを絶対にいいものにしなければ」という想いを新たにしました。この取り組みは、「Next decade」を掲げ、10年後の指導者養成はこうなっているという新しい形への私たちの挑戦でもあります。今日説明を聞いてくれた女性指導者たちと同様に、こちらも大きなチャレンジだと考えています。
眞藤邦彦スクールマスター(JFA)
このコースの目標は、プロコーチの実力を身につけてほしいというものです。WEリーグの立ち上げに関わっていく女性指導者にとどまらず、後進の指導者のロールモデルとなる指導者、そしてインターナショナルな人材の育成を目指します。ここでは、「主体的・対話的・深い学び」がキーワードになります。つまり、主体的に取り組んでいただく中で、みなさんと対話を繰り返し、そこから深い学びにつなげていきたいということです。このコースでは、従来のように「インストラクター」ではなく、「エデュケーター(=教育者)」の制度をとります。それは、私たちも受講するみなさんとの対話を通じて、共に目標に向かっていきたいと考えているということです。コースエデュケーターとして、もっと深い学びを得られるように、受講生の皆さんの経験をもとに、新たな知識や学びを得られるように、失敗を恐れずに、積極的にチャレンジできる環境を整えていきたいと思います。そして、受講生の皆さんには、自身の確固たるスタイルを追い求めていただきたい。今よりも良い自分、確かな自分を見つけて、知れば知るほど難しさに気付き、自分に対して高いハードルを設けることで、新しい自分、確固たる自分を見つけていただきたいです。
このコースは、未来につながる指導者養成の形となる新しい取り組みで、私たちももっともっと精査していかなければなりません。そして、社会の様々なニーズに応えられるコースにして、国際化、多様化、多文化、新しい生活様式に則した形にしていく必要もあります。しかし、そのためには日本のサッカーの歴史を深く知ることも大事であると伝えたいです。
受講される皆さんには、実戦の現場で起こりうる課題、問題を見極めて、考えて、解決していけるだけの能力を身につけてほしいと思います。そして将来、彼女たちが様々な現場で活躍する姿を見ることができたら嬉しいです。