なでしこジャパン(日本女子代表)の佐々木則夫前監督は3月18日、東京のJFAハウスで退任会見に臨み、なでしこジャパンで指導した年月と経験を「僕の宝物」と振り返りました。
2008年からなでしこジャパンを率いた佐々木監督は、パスを細かくつなぎながら豊富な運動量で攻守に連動した動きをするサッカースタイルを構築。FIFA女子ワールドカップドイツ2011で初優勝に導くと、そのプレースタイルは世界から注目を集めました。さらに 翌2012年夏にはロンドンオリンピックで銀メダルを獲得し、日本女子サッカーは世界的な地位を確立しました。
今月上旬のリオデジャネイロオリンピック女子アジア最終予選では敗れたものの、準優勝を遂げた昨年のワールドカップカナダ大会を含めて、125戦を戦って80勝16分29敗でした。
会見に同席した日本サッカー協会の大仁邦彌会長は、オリンピック予選の後に佐々木監督から辞任の申し出を受けたことを説明して、「なでしこのサッカーを世界で戦えるものにした」と佐々木監督の手腕を評価。「世界が『なでしこスタイル』を真似してきている。佐々木監督が女子サッカーを変えた」と賛辞を贈りました。
「なでしこスタイル」の導入について、佐々木監督はなでしこジャパン監督就任の前年にU-19女子代表にコーチとして関わった時に選手のクオリティの高さや、ボールを持っていないところで連係連動する動きと質にヒントを得たことを明らかにしました。
日本女子サッカーの今後について訊かれると、「世界のレベルが非常に上がってきているので、個を活かすようなチーム戦術を徹底する必要がある」と述べ、ジュニア世代からの育成や各年代の強化の継続が重要だと指摘。「世界を見据えながら継続的にやっていることを、うまくトップにつなげていくことが必要」と語りました。
自身の今後については「まだ何も決まっていない」としながらも、「どんな形ででも女子サッカー、日本サッカーには寄与したい」と話しています。
佐々木監督は、「選手たちと世界を目指して仕事をして、世界である程度の結果も出せたので、未来へ向けられると思う」と振り返り、「大切なリオデジャネイロオリンピックの出場はできなかったが、僕自身はサッカーの指導者として本当に充実した11年間を経験できた。これは僕の宝物」と語りました。
選手たちに、「若干頼りなさそうな自分によくついてきてくれた。厳しくもあり、頼もしくもあった。ありがとうと言いたい。是非これからも世界を目指して精進してほしい」と話しました。
コメント
佐々木則夫なでしこジャパン(日本女子代表)監督
女子指導者として携わって11年、監督として9年間、選手たちや日本サッカー協会と共に世界を目指して仕事ができました。そして、世界である程度の結果も出て、未来へ向けられると思います。大切なリオデジャネイロオリンピック出場権獲得はできませんでしたが、僕自身は満足し、サッカー指導者として充実した11年間を経験できました。これは僕の宝物です。U-19女子代表も兼務した時期もあって、若い世代から代表チームへの移行という点では理想的な環境を与えていただきました。様々な局面でいろいろなことを勉強させてもらったことが一番の財産です。今後どういう道へ進むかは分かりませんが、この経験がさらに良い経験となって自分自身の人生にプラスになると確信して、新たなステージへ向けてがんばりたいと思っています。
大仁邦彌日本サッカー協会会長
佐々木監督は本当に素晴らしい成績を挙げてくれました。今回のオリンピック予選は大変残念でしたが、それによってこれまでの戦績が貶められるものではありません。なでしこのサッカーを世界で戦えるものにして、今では世界が「なでしこスタイル」を真似する方向にあります。そういう風に女子サッカーを佐々木監督が変えたと思っています。それによって五輪予選では苦戦することになったとも言えますが、佐々木監督の功績は本当に大きかったと思います。今後も我々はこのスタイルを貫いていくべきだと思っています。