JFAアカデミーでは「常にどんな時でも(日本でも海外でも)ポジティブな態度で何事にも臨み、自信に満ち溢れた立ち居振る舞いのできる人間の育成」というフィロソフィーを掲げ、真のエリートを目指して日々活動しています。
JFAアカデミースタッフ通信では選手たちの日常の様子や、日々の活動を詳しくお伝えしています。今回JFAアカデミー堺のレポートを担当するのは小野美香さんです。
JISSによるサポート
JFAアカデミー堺に来て3年目になります。オフザピッチでは、2年生を担当しています。トレーニング外でのメディカルサポートの一部を紹介します。
JFAアカデミー堺は、昨年から今年度まで国立スポーツ科学センター(JISS)による女性アスリートの育成・支援プロジェクトを受けています。内容はJISS所属の医師・栄養士・臨床心理士による、選手と保護者を対象にした、婦人科・栄養・心理の講習会の開催です。
JFAアカデミー堺では、選手は週末・長期休暇は帰省して各家庭で過ごします。選手・保護者が共に学ぶことにより、成長期における体や心の変化に対応できる知識を身につけ、充実した家庭生活を送ってほしいと考え実施しています。
婦人科の講義
産婦人科医から月経や成長期の身体の変化に関する内容の講義を受けています。昨年よりサポートを受けてから、選手から月経の話をしてくれる機会が多くなりました。サポートを受ける前は、選手が月経の話をすることをタブー視している様な雰囲気がありましたが、そんな雰囲気も変化してきました。保護者からも自宅で月経に関して話をすることが増えたと聞くこともあります。また、選手同士でも話している姿を見かけるようになり、自分のこととして認識が進んでいるように感じています。
栄養の講義
栄養士による、講義を受けました。スポーツを行う上で必要なエネルギー・栄養素を摂取するという日常の食事の重要性を学ぶ内容でした。思春期の真っただ中である選手は、容姿が気になる年頃ですが、十分な食事量が取れないことによる弊害を知り、運動するうえでの食べることの意味を認識できたと思います。講師には、選手から「たくさんご飯を食べる方法」や選手の最大の関心事である「身長を伸ばすためには、主にどのようなものを食べると良いですか」と質問していました。「身長を伸ばすためには、まず身体をつくるために十分なエネルギーが必要です」との返答があり、選手達は食事の役割を実感したようでした。
心理の講義
今年度は、臨床心理士によるグループワークを行いました。各グループで、無人島で生き抜くために必要な物品の優先順位を考えるという課題をしました。3学年混合のグループで、普段の同学年同士、友達同士とは異なる環境で行われました。人の意見を聞き、自分の考えを伝える貴重な機会になったと思います。グループ内で意見を言うのは難しそうでしたが、このような経験を重ねて成長していくのだと思います。
セルフコンディショニンニング
JFAアカデミー堺の取り組みとして、セルフコンデショニングの一つに、コンデショニング管理ソフト「ONE TAP」を使用しています。毎朝、選手が自己のコンデショニング項目をタブレット端末に入力しています。入力内容は毎日の「疲労感・体重・体温・睡眠の質・脈拍・月経・食欲」などです。毎日のコンデションを入力することで、選手も客観的に自分自身の身体と向き合うことが出来ます。プレーの調子がいい時、逆にプレーの調子が悪い時、何が違うのか考えるきっかけにしてほしいと考えています。また、月経周期が表示されるため、月経周期が通常と異なる際は、選手から相談してくれるようになっています。
選手達はアスリートであると同時に、成長期の身体と心の不安定な時期を迎えた10代の女の子でもあります。医療や心理を始めとする専門職のサポートを受けながら、アスリートとしての成長を支えていきたいと思います。