第37回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会は11月21日(土)、3回戦4試合を行いました。
ピックアップマッチ1
スペランツァFC大阪高槻(なでしこ1部/大阪) 1-2(前半0-0、後半1-1、延長前半0-0、延長後半0-1) 伊賀フットボールクラブくノ一(なでしこ1部/三重)
国内トップリーグ勢のチームが対峙したスペランツァFC大阪高槻(なでしこ1部/大阪)と伊賀フットボールクラブくノ一(なでしこ1部/三重)の対戦は、接戦となりました。互いに長めのパスでチャンスを探り合います。サイドへ選手を走らせる高槻は、13分には佐藤楓選手がゴール前から惜しいシュートを放ちます。守備陣が運動量で負けまいとする伊賀も、43分に高い位置でボールを奪い松長佳恵選手がシュートに持ち込みますが、これはGKに抑えられました。
試合は後半に動きます。54分、伊賀は右への展開からファーサイドへクロス。折り返したところを杉田亜未選手が豪快にゴールネットに突き刺しました。これに対して高槻は交代カードを切り、最終ラインから前線へとポジションを移した佐藤選手にボールを集めます。すると79分、佐藤選手が好守を見せていた伊賀GK久野吹雪選手を打ち破って1-1とし、試合を振り出しに戻しました。
両チームのGKが好守を見せる中、次のゴールが決まったのは延長に入った103分のことでした。長いボールに諦めず走り込み、ゴールライン手前で追いついた伊賀MF乃一綾選手のクロスに、こちらも交代出場してターゲットとなっていた伊賀の長身FWグロリア・ダグラス選手がヘディングで合わせます。これが決勝点となり、伊賀が接戦をものにしました。
ピックアップマッチ2
日テレ・ベレーザ(なでしこ1部/東京) 5-0(前半3-0、後半2-0) 早稲田大学(関東/東京)
1、2回戦となでしこ2部リーグのクラブを撃破してきた早稲田大学(関東/東京) は、強敵に果敢に挑みます。前回大会の覇者で今季のなでしこリーグ1部を制した日テレ・ベレーザ(なでしこ1部/東京)に対して、序盤から前に出てゴールへ迫りました。しかし、ベレーザは王者らしい対応を見せます。早稲田の勢いを受け止めると、人とボールの出し入れで自在にプレーを展開し、8分には田中美南選手が縦パスに抜け出し、冷静にゴールネットを揺らして先制。その5分後に上辻佑実選手が追加点を奪うと、36分には上辻選手が頭で折り返したボールを田中選手が押し込み、3-0で前半を終えました。
後半に入っても、ベレーザは勢いを緩めません。試合時間のほとんどを早稲田陣内で進めて付け入る隙を与えず、66分には田中選手が左サイドからのクロスにニアへ詰めてハットトリックを達成。田中選手は86分にもゴールを奪い、ベレーザが力強く準々決勝へと駒を進めました。
22日(日)には、残りの3回戦4試合が行われ、ベスト8が出そろいます。
その他の試合結果
岡山湯郷Belle(なでしこ1部/岡山) 2-6(前半1-1、後半1-5) ASエルフェン埼玉(なでしこ1部/埼玉)
アンジュヴィオレ広島(なでしこ2部/広島) 0-5(前半0-3、後半0-2) INAC神戸レオネッサ(なでしこ1部/兵庫)
監督・選手コメント
那須麻衣子選手(伊賀フットボールクラブくノ一)
高槻とは今年5度目の対戦なので、苦しい試合になるというイメージを持っていました。気持ちで負けないようにと言い合って、自分たちが上なんだというところを見せられるようにと思って臨みました。失点は私も絡んだものだったので、何とか前線の選手に点を取ってもらいたいと思っていました。延長に入ってからもこちらがリズムをつくって押し込めていたと思います。ここ最近で一番走った試合だと思いますし、最後は1点差を守り抜けて良かったです。次で当たるベレーザにはリーグの後半戦で大敗しているので、チームでしっかりと戦い方を統一して、良いイメージを持って試合に入りたいです。
本並健治監督(スペランツァFC大阪高槻)
90分以内で決めることができた試合だと思います。ゴールを決め切れなかった結果、相手を復調させてしまいました。ストライカーの不在が痛かったです。前線でタメをつくることができない分、機動力を生かしてスペースにどんどん動いてくれと伝えていましたが、そこは選手たちがうまくやってくれました。ただ、決め切るところだけがプラン通りにいきませんでした。今大会は残念ながらこの一戦で終わりとなりましたが、われわれにはリーグの入れ替え戦が残っているので、今度はそちらに主眼を置いていきます。
松川智選手(早稲田大学)
日本のトップの選手たちと試合ができる良い機会でしたが、何もできなかったというのが正直な感想です。相手は一歩目の動き出しやボールの置きどころ、パスの送り先など本当にレベルが高く、相手が1人多いと感じるような試合運びをされました。序盤はチャンスもあったのですが、相手がいろいろな動きを入れて対処してきたのに対して、こちらは何も適応できませんでした。私たちは一昨年もこのグラウンドでベレーザと対戦して大差で負けました。その差を縮めたいと思っていましたが、やはり相手のレベルは高かったです。この貴重な経験をどう生かしていくかは自分たち次第。学生の最終目標であるインカレでの日本一につなげていきたいです。
上辻佑実選手(日テレ・ベレーザ)
個人的に最近はなかなか得点していなかったので、ゴールを挙げることができてうれしいです。ボールを動かし、チームとして焦れずにプレーできたことが良かったと思います。この大会では相手も勢いを持って前に出てきますし、一発勝負という難しさもありますが、今年のリーグ戦で優勝したチームとして、一つ一つ勝ち上がっていきたいです。次の試合まで少し時間が空きますが、そこまで練習試合をして調子を上げていきたいと思います。個人としては、どんな形でも優勝に貢献できればと思っています。
JFA-TV 第37回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会
第37回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会
11月7日(土)~12月27日(日)
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