JFA 第9回全日本U-15女子フットサル選手権大会は14日(月・祝)に大会最終日を迎え、準決勝2試合と決勝が行われました。決勝では、過去4度の優勝を誇る福井丸岡ラック(北信越/福井)が初出場のHKSCリンドーゼ霧島(九州/鹿児島)に8-4で勝利し、2年ぶりの頂点に立っています。
9時半に開始された準決勝の2試合は、Aピッチがシーガル広島レディース(中国/広島)対福井丸岡ラック、Cピッチが十文字中学校(関東/東京)対HKSCリンドーゼ霧島という対戦カードになりました。
Aピッチの試合は、前半が激しい点の取り合いになります。2分にシーガル広島がセットプレーから松川杏美選手のゴールで1点を先制すると、福井丸岡ラックも直後に加藤ほのか選手のゴールで追いつきます。8分にも福井丸岡ラックは窓岩日菜選手のゴールでリードを奪いますが、シーガル広島も9分、12分と連続でゴールを決めて再びリードしました。それでも前半終了間際、福井丸岡ラックは山崎鈴奈選手、加藤選手が立て続けに2点を取り、4-3とリードして試合を折り返します。後半に追加点を挙げた福井丸岡ラックが2年ぶりの決勝進出を果たしました。
準決勝のもう一試合は、劇的な展開になりました。序盤から十文字中がリンドーゼ霧島を圧倒。6分には3連続ゴールを決めて、一気に優位に立ちます。しかし、リンドーゼ霧島も徐々に相手の能力に慣れていき、ゴール前にロングボールを入れる戦術からチャンスをつくり出します。前半は5-3と十文字中がリードして折り返しましたが、リンドーゼ霧島は後半の立ち上がりに1点を返し、21分に同点に追いつきます。5-5のまま試合は延長戦へ。延長戦でも再び十文字中に勝ち越されたリンドーゼ霧島でしたが、ロングボールからオウンゴールを誘発し、同点とします。結局、勝負の行方はPK戦に委ねられ、これを3-2で制したリンドーゼ霧島が決勝に駒を進めました。
決勝戦は開始直後から両チーム点を取り合い、5分で2-2となる激しい展開で始まります。その後、福井丸岡ラックがアグレッシブな守備で相手のミスを誘発すると、それを逃さずに得点につなげていきます。前半だけでハットトリックを達成した加藤ほのか選手の活躍もあり、3点をリードして試合を折り返します。
後半もロングボールを主体に攻めるリンドーゼ霧島に対し、福井丸岡ラックの選手たちは体を張ってゴールを守りました。そしてカウンターから16分に北出詩音選手がゴールを決めると、20分にも山崎鈴奈選手がゴールを決めて、リードを5点に広げました。苦しい展開になったリンドーゼ霧島も、最後まであきらめることなく戦い、試合終了間際には黒木愛理選手がこの試合ハットトリックとなる3点目を記録します。しかし、反撃もここまで。8-4で勝利した福井丸岡ラックが、2大会ぶり5度目の日本一に輝きました。
監督・選手コメント
田中悦博監督(福井丸岡ラック)
U-15の選手たちは、いつも(女子日本リーグを戦っている)トップチームの選手たちが練習の相手になってくれています。年末にトップチームの若手中心でタイ遠征に行った時も、トップチームの北川夏奈、高尾茜利らが練習を見てくれました。彼女たちのおかげですし、チーム組織が一丸でつかんだ優勝だと思っています。このチームは、近所の子どもたちが集まっているチームです。でも、トップチームの選手たちを見て自然に学んでいるんですよね。今回のチームはほとんどが2年生なので、これからの1年でどれだけ成長するか、また楽しみです。
窓岩日菜選手(福井丸岡ラック)
まだ優勝の実感はないのですが、みんなが一つになって優勝という目標に向かい、どんどんボールを奪いにいき、フットサルを楽しむことができた結果だと思います。体格とか、技術とか、自分たちには足りないものが多かったのですが、「一人ひとりが全力を尽くして集まれば、誰よりも強い力になる」という田中監督の言葉を胸に戦いました。決勝も含めて、大会を通じて本当に楽しめましたし、疲労がぶっ飛ぶくらい今はうれしいです。中学生年代は最後なので、後輩たちに2連覇してほしいなと思います。私はフットサルをやめて、高校でサッカーをやります。
堀ノ内大介監督(HKSCリンドーゼ霧島)
初出場でここまで来られるとは思っていませんでした。準決勝の時点で子どもたちも「楽しもうね」という感じでやっていました。私はフォローするくらいしかできませんでしたが、子どもたちが「やろうやろう」「楽しもう」と声を掛けて、試合中にどんどん成長してくれました。本当に頼もしかったです。フットサルに取り組んだのは県予選の時期からでしたが、フットサルをやることでサッカーのプレーにも良い影響がたくさんありました。切り替えが早くなったり、動き出しが良くなったり、サッカーにも生きる要素がたくさんありました。サッカーでトップの十文字中、フットサルでトップの福井丸岡ラック、こうしたチームと戦えることが本当に幸せでしたし、今後の思い出になるでしょうし、チームにも良い経験になったと思います。
高橋愛英選手(十文字中)
初戦は流れがつかめなかったのですが、試合を重ねるごとに流れが良くなっていきました。準決勝でもペースを握れて、最初に4点くらい取った時は「これは勝てるな」と思ったのですが、その油断が負けにつながってしまったと思います。関東大会でもPK戦になったことがありましたが、GKが活躍してくれていたので勝てると自信を持って臨めていました。残念な結果になってしまい、応援してくれた人たちの期待には応えられませんでしたが、中学3年生にとっては最後の大会で、応援も含めて全員が一丸になって戦えたので、良い大会にはなったと思います。でも、やっぱり優勝したかったですね。
大会期間:2019年1月13日(日)~14日(月)
大会会場:三重県/三重県営サンアリーナ