日本サッカー協会は10月27日(土)、文京シビックセンター小ホールで、第2回女子サッカーカンファレンスを開催しました。
今回は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて in BUNKYO」の一環として文京区との共催で行われ、なでしこジャパン(日本女子代表)からエンジョイ志向のチームまでの女子サッカーに関わるトピックを扱ったほか、女子ラグビーや女子野球などからもゲストを招き、4つのテーマを取り上げました。会場には北京オリンピックやロンドンオリンピックで選手が着用したユニフォームやウェア、また今年行われたFIFA U-20女子ワールドカップの優勝トロフィーやメダルなどの展示もあり、女子サッカーの歴史を振り返りました。
午前中に行われたセッション1では、「日本女子代表のあゆみ~東京2020に向けて」をテーマに、なでしこジャパンの高倉麻子監督と、前監督の佐々木則夫氏との対談が行われました。セッション2では、「女子だってやりたい」女性も楽しむスポーツをテーマに、元日本女子代表選手でJFA女子副委員長の手塚貴子氏のほか、全日本野球協会理事を務める山田博子氏、日本ラグビーフットボール協会理事を務める浅見敬子氏、日本ボート協会業務執行理事の加藤直美氏と、他競技の方々を登壇者として招き、それぞれの競技の現状や課題について意見を交わしました。
午後から行われたセッション3には、「いつからでもいつまでも」生涯に渡ってサッカー、スポーツを楽しむためにをテーマに、女子1級審判員の吉澤久恵氏、文京LBレディースの山村萌氏、大坪佳夏子氏ら、さまざまな形でサッカーとの関わりをもつ方々が登壇。いろいろな関わり方で生涯サッカーを楽しみ続けることについて語り合いました。最後のセッション4では、「女性が輝く社会を」をテーマに、日本オリンピック委員会理事であり、JFA理事でもある山口香氏をファシリテーターとして、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの小林美由紀氏、FC東京の久保田淳氏らが、意思決定の場だけでなく、あらゆる場面での女性のスポーツへの関わりについて話し合い、約90名の参加者と情報共有をする場となりました。
登壇者コメント
手塚貴子日本サッカー協会女子副委員長
1つ目のセッションでは、なでしこジャパン高倉麻子監督と佐々木則夫前監督をゲストにお迎えして、それぞれの女子サッカーとの出会いやエピソードなどを交えながら代表チームが歩んできた道を懐かしい映像とともに振り返り、東京五輪2020に向けての抱負なども語っていただきました。
2つ目のセッションでは、サッカー以外の種目(野球・漕艇・ラグビー)の方に来ていただき、いろいろなお話を聞くことができました。日本の女子サッカーが歩んできた時代背景や取り巻く環境などが比較的似ている種目なので、お互いに参考になる話しや共感できる話しができたと思います。
この他に、競技者の目的に応じた様々な工夫を凝らして存在するクラブチームや、自治体主体の多世代型スポーツクラブ、選手ではなく女性審判員の立場からなど、様々な観点から生涯にわたってサッカー、スポーツを楽しむためのヒントを貰うことができました。そして、あらゆる場面で女性が活躍できる社会を築いていくためには、女性がスポーツをすることや支えていくことの大切さ、女性ならではの視点や発想が重要であることを周りに理解して貰うことが必要なのではないか、などの意見が多くありました。今後もこのようなカンファレンスを通して様々な観点から女子サッカー・女子スポーツを見つめ、それぞれの発展につなげていきたいと考えています。
山田博子さん(一般財団法人全日本野球協会理事)
この度の女子サッカーカンファレンスにおいて、女子野球のお話をさせていただける機会を頂戴し、本当に感謝しています。また、女子ボート、女子ラグビー、女子サッカーについて大変貴重なお話を伺い、学びが多いイベントでした。他競技のスポーツの状況などなかなかお話を伺う機会がない中で、各競技についての情報を知り、抱える問題点の共有、またお話の中でソリューションを見つけることができたり、アイデアをいただくこともあり、とても刺激的で、困難に向き合うパワーや勇気をもらえました。このカンファレンスで得たことを、女子野球界に持ち帰り、指導者、選手、スタッフに共有し、何か化学反応が起きたらとても嬉しいなと思っています。これを機にもっと女子サッカーをはじめ他の女子スポーツのことを学びたいと思いました。本当に素晴らしいイベントをありがとうございました。
加藤直美さん(公益社団法人日本ボート協会業務執行理事)
サッカー、野球、ラグビーと競技を魅せる皆さまとご一緒でき、大変勉強になるとともに横のつながり、女子サッカーの懐の深さを感じる素晴らしい時間となりました。普段は他に仕事を持ち、母業、家庭とかけ持ちしながら運営に携わっていますが、同じように多様な顔を持つ女性には指導者、審判、そして運営にどんどん関わってほしいと考えています。ボート競技は小学生から80代といったシニアまで元気に自分のペースで楽しめる生涯スポーツです。今後、トップアスリートから学生、地域のクラブ、子どもたち、シニア層、パラローイングをつなぐには何ができるのか、様々な視点を持ちながら尽力することが、総合的に女子の競技人口を増やすことにつながると信じて活動を続けていきたいです。貴重な機会をありがとうございました。
参加者コメント
武末彩子さん
日本女子代表の歩みや展望の話から始まり、グラスルーツの活動、他競技との照らし合わせなど、旬な情報を幅広く知ることができました。選手を引退してから10年ほど指導者として現場に関わってきた自分が、次の10年でどんなことができるのかなと考えていたところだったので、いろいろな立場で奮闘されている方々の生の声を聴いたり、今の育成年代の課題や現場を改めて知ることができ、とても良い機会となりました。
宮﨑友里佳さん
指導者としてだけでなく、人としても非常に学びの多い一日でした。「今」を知るには、「歩み」を知ることが重要だと考えています。それを今回知ることができ、改めて自分が今何をすべきなのかをしっかりと考えたいと思います。大きなテーマで横断的に話しを聞くことができたことも非常に良かったです。
町田華穂さん
なでしこジャパンの高倉監督と佐々木前監督の対談や、サッカー以外の競技の話も聞けて良かったです。各スポーツそれぞれに歴史があり、女子スポーツの普及はこれからも重要になると感じました。女子サッカーは、リーグの強化により日本代表が強くなるという関係なども知ることができ勉強になりました。自分にとってプラスになる内容が多く、これからの糧にしたいと思います。
秋山光弘さん
イスラム圏の女子サッカーの話は印象深い内容でした。教員として、授業でも教材に取り上げたいと思います。本日のようなカンファレンスを、もっと回数を増やして開催してほしいです。
東孝行さん
女子サッカーの歩みや女子スポーツの推進を知ることができ、とても有意義でした。裾野を広げるにも女子サッカーの躍進は非常に大切だと思うので、女子指導者をもっと育成して更なる女性の活躍を期待したいです。高倉麻子監督のサッカーとの出会いの話は特に印象的でした。