6月17日(日)、昨年に続いて「女子サッカー(なでしこ)普及コーディネーター研修会」を日本サッカーミュージアム内のヴァーチャルスタジアムで開催しました。各都道府県のサッカー協会(FA)に配置された「女子サッカー普及コーディネーター」は女子サッカー普及活動の調整役として、既存の事業や行事、制度等を有効活用し、それらを更に発展させる他、女性がサッカーにより気軽にアクセスできる環境の創出や整備を様々な観点から促進させる役割を担うべく、昨年から本格的に制度を開始しました。全国の普及コーディネーターが一堂に会した研修会では、冒頭に今井純子JFA女子委員長から、普及コーディネーター制度の目的を改めて確認するとともに、登録データによる女子サッカーの現状分析等の説明がありました。その後、好事例として山梨県の地元社団法人を巻き込んだ取り組み、香川県のFA主導による4種との連携、愛知県の長期プランに基づいた活動、さらにJFAnews4月号の部活動特集にも掲載された杉並区小中学校女子サッカー部、杉並区立松ノ木中学校の取り組みが紹介されました。地域ごとに分かれて行ったグループディスカッションでは、FAごとのこれまでの活動の共有や、好事例・課題を共有し発表、登録制度についても活発な意見交換が行われました。
参加者コメント
狩野倫久さん(ナショナルトレセンコーチ(女子担当、関西チーフ))
我々、ナショナルトレセンコーチも今回の普及コーディネーター研修会に参加し、他地域や各FAでの取り組みに対し生の声を聴き全体で共有できたことで、JFAの目指すべき方向性を合わせ、地域の実情に合った取り組みなど工夫を凝らし、今後の女子サッカーの普及に対し、各FAの普及コーディネーターの方々と今後一緒になって取り組んでいける良い機会となりました。
研修会終了後も、各FAの普及コーディネーターの方々がコミュニケーションを取り合う姿が印象的で、非常に熱を感じる有意義な研修会となりました。
美馬智子さん(埼玉県担当)
今回は、なでしこvision実現のためのマスタープランについて改めて確認し、登録データ等の情報共有を行いました。登録者数では各カテゴリーにおいて増加傾向をとらえることができましたが、普及コーディネーターの活動好事例の共有や地域ごとのディスカッションの中でも、実際に大会出場チーム数の増加やトレセン等参加選手の増加、なでしこひろばやフェスティバルの開催数増加といった成果があがっていたことから、普及コーディネーターという役割を担い目標を持ってそれぞれのFAで活動されている動きが、これまで行われてきた普及活動の「流れ」をより加速させ大きく広げていくきっかけとなり、成果に繋がり始めていることを感じることができました。各地域・FAによって状況や課題は異なりますが、それぞれ工夫された取り組みは参考になるものが多く今後の活動に向けての励みとなり、また、今後の課題や取り組みについてより具体的に捉えることができたので、有意義な研修となりました。
まずは、今回の情報をしっかりとFA内で共有し関係各所との連携を深めるとともに、「地元に理解されることが一番の普及」という言葉もあったように、地域と関係者の理解協力を得て活動を広げていけるよう取り組んでいきたいと思います。
横澤基さん(北海道担当)
昨年度から行われている本研修ですが、私は今回初めて参加させていただきました。まず、普及コーディネーターが各FAに1名配置される中、北海道FAからは各地域ブロック5名の配置にご尽力いただき、今井委員長はじめJFA女子部、さらにナショナルトレセンコーチの方々に感謝申し上げます。
研修では最初になでしこvision実現のためのマスタープランについて説明がありました。日本が世界のなでしこになるため、今こそ「ピンチをチャンスに」をスローガンに、「変える、始める」「大胆に、丁寧に」といったキーワードに、関わる全ての方々が「本気で、覚悟をもって」取り組むことが大切だなあと改めて感じました。
次の活動事例紹介では、東京都杉並区立女子小中サッカー部から発表がありました。実は2015年11月に栃木県で行われた「中学校女子サッカー部フェスティバル」で一緒に参加させていただいたご縁があり、関戸先生との再会には大変驚き、感激いたしました。また中学校サッカー部活動として、長年男子と共に女子選手と関わり続けられたことにリスペクトいたします。
最後に地域別でグループディスカッションを行いました。担当ブロックでの好事例を出し合いましたが、与えられた時間ではまだまだ足りず、地域に戻りでさらに活発な研修を行おうと話し合いました。「さらに前へ!」、関係するすべての方々と連携しながら、私たちも勇気をもって取り組んでいきたいと思います。全国の普及コーディネーターの皆さんお疲れ様でした。今後とも宜しくお願いいたします。
田村博さん(徳島県担当)
なでしこvision実現に向け、女子選手が将来に大きな夢を描ける環境を整備することが私たちの責務である一方で、環境に負けず失敗を恐れずチャレンジできる逞しい人を育てなければなりません。そのベースとなる「普及」をどうコーディネートしていくのか?今井女子委員長がおっしゃったように、すぐに思うような結果は出なくとも未来への種まきが今必要であり、そのための作業は周囲の目を引くような派手なものばかりではありません。人間関係をどうコーディネートしていくのか?も、重要な仕事です。例えば、うまくいっていないAさんとBさんとを繋ぐことは大変です。自分が両手を繋いで離さなければ変わるかもしれません。一つのマイナスの関係性を変えることで、すべてがプラスに転じることがあります。ゼロをイチにするために途方もない準備や配慮が必要だったり、多くの方と手を繋ぐことで八方美人と揶揄されるようなことがあったりするかも知れません。それでも諦めず、自己主張と協調性のバランスをとりながら進める強い意志が必要です。未来ある女子選手たちに、最善の、楽しい努力の時間が提供できるように、失敗を恐れないチャレンジが、まず私自身に必要だと感じています。