国際経験を積んでレベルアップ
ドイツの優勝で幕を閉じたリオデジャネイロオリンピック2016で、ベスト8の成績を残した中国(FIFAランキング13位)は、加速度を上げながら力を付けているチームの一つだ。
昨年2~3月にかけて大阪府で行われた、リオデジャネイロオリンピック2016アジア最終予選で、中国はなでしこジャパン(日本女子代表)との対戦で1-2の勝利を挙げるなど、3勝2分で2位となり、アジア第2代表としてリオデジャネイロオリンピックに出場した。
自国開催の北京オリンピック2008以来、2大会ぶりの出場となった本大会では、ブラジル、スウェーデン、南アフリカといった強豪ぞろいのグループEに入ったが、2位でグループステージを突破。準々決勝では、最終的に優勝に輝いたドイツに0-1で惜敗している。
オリンピックでの4試合を通して、中国の得点は南アフリカ戦で挙げた2得点のみだったが、ホスト国であるブラジル、準優勝のスウェーデン、優勝を果たしたドイツとの真剣勝負を通し、大きな国際経験を積んでチームをレベルアップさせた。
なでしこジャパンとの直近の対戦は、先述のリオデジャネイロオリンピック2016アジア最終予選だ。しっかり体を寄せてボールを奪いに行く中国らしい持ち味に加え、パススピードの速さや巧みなインターセプトを発揮し、なでしこジャパンのミスを突いて、得点に結びつけた。
この敗戦の影響もあり、オリンピック出場を逃したなでしこジャパンとしては、リベンジを懸けた一戦となる。
この日中戦やオリンピックの4試合にフル出場した守護神のGK趙麗娜(Zhao Lina)選手、キャプテンのDF李冬娜(Li Dongna)選手らは、今回のEAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会でも、活躍を見せるだろう。
新チームでは守備のもろさを露呈
中国は現在、リオデジャネイロオリンピックでベスト8に導いたブルーノ・ビニ監督に代わり、現在はアイスランド国籍のシグルル・ラグナル・エイヨルフソン監督が率いている。
2017年は、計16試合の国際Aマッチをこなしてチーム強化を推し進めており、10月のブラジル戦では2-2の引き分け。11月22日、26日に行われたアウェーでのオーストラリア戦では、0-3、1-5で連敗している。
過去のEAFF E-1サッカー選手権での成績を見ると、中国は2大会連続で最下位に沈む苦戦が続いているため、今大会へのモチベーションは高いはずだ。
積極的に試合経験を積む中で、リオデジャネイロオリンピック以降の中国は失点の多さも目立つため、12月11日(月)の第2戦で対戦するなでしこジャパンとしては、ゴールゲッターの活躍に大きな期待がかかってくる。
2年連続でプレナスなでしこリーグ1部の得点ランキング1位に輝いたFW田中美南選手(日テレ・ベレーザ)は、中国で開催された、前回大会にも参加している。第3戦の中国戦では、2トップの一角として先発出場し、83分までプレー。2-0の勝利に貢献した。
田中選手は「中国など東アジアのチームは、欧米のチームとは違ったフィジカルの強さがある。体格は日本に近いけど、それでも日本よりパワーのあるチームもある。球際も激しく、踏ん張る力やアジリティーの高さは、欧米のチームには無い強さだと思う」と、育成年代から対戦してきた中国への警戒を怠らない。
前回、前々回の対戦でいずれも得点を決めているFW横山久美選手(1.FFCフランクフルト/ドイツ)らヨーロッパでプレーする選手は不在だが、「彼女たちに頼ってばかりではいけないし、今回のメンバーでしっかり結果を残さないといけない。優勝を目指していきたい」と、伸び盛りの中国を抑えての優勝に意欲を示している。
第1回大会の東アジア女子サッカー大会2005に出場したDF宇津木瑠美選手(シアトル・レインFC/アメリカ)も、アジアでの厳しい戦いを経験してきた選手だ。「オリンピック予選や育成年代の代表でも、苦戦させられてきたのはいつもアジアのチームだった。できることとできないことの振り幅がいかに少ないか、それで勝敗が分かれてくるので、そこを密に詰めていかなければいけない」とした上で、「アジアでの戦いは、精神面での戦いも大きい。隙を見せないことを90分間考えながら、試合に入りたい」と、国際Aマッチ100試合出場を果たした経験を携え、高い集中力で中国との一戦に臨む。
なでしこジャパン(日本女子代表) EAFF E-1 サッカー選手権 2017 決勝大会
12月8日(金) 18:55キックオフ(予定)
なでしこジャパン(日本女子代表) vs 韓国女子代表
12月11日(月) 18:55キックオフ(予定)
なでしこジャパン(日本女子代表) vs 中国女子代表
12月15日(金) 18:55キックオフ(予定)
なでしこジャパン(日本女子代表) vs 朝鮮民主主義人民共和国女子代表
すべて会場は、千葉/千葉市蘇我球技場(フクダ電子アリーナ)
EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会
男女ともに、中国、日本、朝鮮民主主義人民共和国、韓国の4チーム総当りによるリーグ戦で東アジアサッカーの頂点を競います。12月8日(金)から16日(土)まで、男子は味の素スタジアム(東京)、女子は千葉市蘇我球技場(フクダ電子アリーナ/千葉)で行われます。